大阪ビジネスパークにあるオフィスビル、松下IMP ビルの商業エリアをリニューアルしたプロジェクトです。 このビルには以前に計画された駅が現在も地下に残っていることから、かつての計画のように人びとが集まる拠点となることを願い、駅をデザインモチーフとしました。施設全体で多層階にわたって伸びる丸柱には、力強いモルタル調の仕上げと金物のフレーミングを施し、駅のような列柱空間のベースをつくりました。西側の吹抜けではこのフレーミングが駅のアーケードのように連続するアーチ型となり、既存のR天井と呼応することで吹抜けとの一体感を生んでいます。その中に、当ビルと隣接する大阪城の黒/ゴールド/緑青の色、石垣/梅の形をFF&Eと造作に取り入れることで、この土地が400年前から受け継いできた記憶との親和性を持たせました。また、コロナ禍で多くの企業がオフィス外で働くことのできる環境を整備していく中、商業エリアの共用部に働く場を設え、新しいワークスタイルにフィットする商業オフィスビルのあり方を模索しました。商業エリアの各所には打合せから個人ワークまで幅広いニーズに対応できる家具を配置しました。各家具にはL型に拡張する天板付きのソファ、視界を制限して集中力を高めるハイバックチェア、コートハンガー付きのカウンターチェアなど、さまざまな工夫を施しています。パーティションのように植栽を配置することで居心地の良さにも配慮し、平日は主にワークプレイスとして、休日には観光客の休憩スペースとして利用できる場としました。IMPビル内のオフィスワーカーだけでなく、大阪ビジネスパーク内で働く方、さらには来街者まで、さまざまな人びとが集う開かれたワークプレイスとして、新しい働き方、新しいコミュニケーションが生まれる場となることを目指しました。