2017年に経験者採用で入社した野村 尚紀。前職までで培った人とのつながりを基盤にさらに人脈の輪を広げ、空間づくりを通じてさまざまな事業を生み出しています。自身の仕事を「煙が立ちそうなところに火をつけにいく」仕事と表現する野村が、仕事に対する想いや情熱を語ります。 対話から生まれる新たな可能性。多様なステークホルダーと紡ぐ新たな空間づくりビジネスプロデュース本部 第一統括部 新領域プロジェクト開発部 開発課で課長を務める野村。その仕事内容は一般的な乃村工藝社の業務の枠にとどまらない、独特な広がりを持っています。野村 「新領域プロジェクト開発部では、今から世の中に出てくるような計画に関してアンテナを張っています。情報をキャッチしながらステークホルダーとの関係性を作り、我々の事業参画のポジションやきっかけを作ることが主な仕事です。関わるプロジェクトは複合施設やオフィス、公園などの企画開発から、国家プロジェクトまで幅広いことが特徴。さまざまな領域の空間づくりを得意とする乃村工藝社の強みを活かしつつ、プロジェクトの初期段階からステークホルダーと共に考え、魅力ある場づくりを目指します」野村の仕事を語る上で欠かせないのが「人とのつながり」です。野村 「私たちの仕事の主軸はコミュニケーション。さまざまな事業会社、デベロッパーや金融機関の方、はたまた地主の方など幅広い人と会話します。さまざまな人々の意向を踏まえながら、施設、空間づくり、そして街づくりの初期段階から一緒に計画を組み立てていくのが役割です」野村は自身の仕事を「煙が立ちそうなところに火をつけにいく」と表現します。これは潜在的な可能性を見出してそこに事業機会を創出する役割を指し、そのために、常に幅広い情報収集と人脈形成に努めていると言います。野村 「人と会うことによって発見があるんです。いろんなものから情報を得ることは当たり前ですが、それ以上に人と話をすることで得られるものが非常に多い。そこから気づきやヒントを得て、新しい取り組みができないかと考えています。情報の渦の中に自分を置いておかないと、世の中で何が起こっているかわからないし、人と会話するときに不安になるんですよね。常にアンテナを張ってさまざまなことに触れるようにしています」野村の知的好奇心は、人に対しても発揮されます。野村 「人に対して『なんでこう考えるんだろう』『どうしてこう感じたんだろう』などと感じることが多いので、一緒に働く人のルーツや趣味、考え方についてはコミュニケーションを取る中でよく聞くようにしていますね。相手のことを深く理解することによって、自然と信頼関係も築けますし、一緒に仕事をする上でも役に立ちます。ただ、そのためにはまずは自分を理解してもらうことから始まると考えています。また仕事をする時はもちろん『会社のために』と考えますがまず『世の中のために何かできないか』という目線で物事を考えます。会社のことばかり考えても可能性が狭まってしまう。会社だけでなく、世の中やステークホルダーにも目を向けて物事を考えることを大切にしています」好奇心が導いた「乃村工藝社」への道。人脈や知識を活かし仕事を生み出す乃村工藝社で7社目になる野村の経歴を振り返ると、そこには「0から1を作る」という一貫したテーマがありました。野村 「乃村工藝社に入社するまでも、さまざまな会社で0から1を作る企画開発の仕事に携わってきました。ただ、きっかけや明確な志向があったわけではなく、気づいたら街や施設、新しい業態のお店作りという仕事をしていたという感じです」コミュニケーションの中で「利他の心」を大事にしている野村は、特に印象的だった出来事について語ります。野村 「あるお客さまから『ここで商業施設を作りたい』という相談を受けました。しかしいろいろと検討した結果、不向きだと感じたので『やめた方がいいんじゃないですか』と提案したんです。引き受けたら会社の利益にはなっていたでしょうが、それがお客さまにとってベストな選択ではないと判断したら、止めるのも我々の役目だと思うんです。その直後はお客さまを怒らせてしまったのですが、後々『あの時にちゃんと向き合ってくれて嬉しかった』と言ってくださって。そのお客さまからは今でもご相談を受けることがあり、交流が続いています」このような深いつながりと経験を積み重ねてきた野村が乃村工藝社への入社を決意したのは、リーディングカンパニーの仕事を体感してみたいという思いからでした。野村 「『乃村工藝社』という会社がどのような仕事をしているのか単純に知りたいと思い、好奇心を抱きながら入社をしました」乃村工藝社に入社してからも、野村の仕事のスタイルは変わりません。野村 「入社以来、形態は変化しつつも基本的に同じ領域の仕事を続けています。これまでの人脈や知識を活用して『煙が立ちそうなところに火をつけにいく』スタイル。会社から与えられたある国家プロジェクトには、長期プロジェクトということもあり、入社当初から今でも携わっています。またこのプロジェクトをきっかけに、他の国家プロジェクトにも関わることになるなど新たな機会創出につながっていて、自身の仕事に新たな広がりができてうれしいです」つながりが生み出す成功の連鎖。都立明治公園プロジェクトに見る、新時代の空間づくり▲ 『都立明治公園』乃村工藝社という看板を掲げながらも独自のスタイルで仕事に取り組む野村。その仕事の醍醐味は人と人とのつながりを活かし、新たな価値を創造することにあります。その一例が、都立明治公園のプロジェクトです。野村 「幸いなことに、これまで交流があったメンバーがいろんなところで活躍していて、ネットワークが形成できています。都立明治公園も、以前働いていた会社の同僚や後輩が、その開発を担う事業会社にいたことがきっかけで始まったプロジェクトでした。都立明治公園は東京都が推進する公民連携による公園活性化プロジェクトのひとつ。事業会社との協力体制を深め、さまざまな地方のコンペティションに応募していく中で、ようやく実を結んだのがこのプロジェクトです」このプロジェクトで乃村工藝社は全体の構想や企画を担当し、デザインの監修も行いました。野村 「都立明治公園のプロジェクトを進めている際に、お客さまから新規の事業をやりたいというお話がありました。もともと事業会社に温浴施設開発の知見があったこともあり、そこから話が広がって公園内の都市型スパ施設『TOTOPA』の開発にもつながりました。私自身の役割としては今回のプロジェクトだけに関わらず、事業の構想段階から参画し、適切な人財やリソースを結びつけながらプロジェクトを伴走していくこと。例えば当社から相性が良さそうなプランナーを紹介。この仕事をきっかけに不動産会社とプランナーが意気投合し、今でもタッグを組んで仕事をしています。ほかにもプロジェクトメンバーのつながりからメディアを紹介したことで、テレビで施設を紹介してもらえることになったり。このように、自分の持っている人脈やアイデアを惜しみなく使って、プロジェクトを進めていくことに喜びを感じます」野村の仕事は単なる空間づくりにとどまりません。野村が仕事をする上で意識していることについて語ります。野村 「私は空間づくりというより、事業づくりというイメージで仕事をしています。空間をつくってもそれがお金を生み出さなければ、結局は事業にならないですよね。世の中には事業をつくる仕事が多々ありますが、私は空間という軸で事業の話をしているイメージです」 あふれだす好奇心──新たな可能性への果てしない挑戦これまでの人とのつながりや信頼関係を大切にしながら、空間づくり、ひいては事業づくりに邁進する野村が描く今後の展望とは。野村 「これまで築いた人間関係を大切にしながら、今後も仕事を続けていきたいと考えています。その関係性が新しいプロジェクトなどなんらかのカタチにつながることを期待しています。よく驚かれるのですが、私は今に至るまでほとんど営業活動をしたことがないんです。常に人と交流して、アンテナを高く張ることによって、自然と面白い話が舞い込んでくる。そんな流れで仕事をしています」野村にとって当社は7社目。これまで培ってきた人とのつながりにより、幅広い分野の専門家と交流を持っています。野村 「長年の人との付き合いもあり、現在はさまざまな縁を通じて、自分が携わりたい分野にアプローチできる環境にあります。将来的には、これらのつながりをさらに拡大していきたいですね」野村は、乃村工藝社の「起点」になりたいという強い想いを持っています。野村 「私は社内外の人々にとって『野村と一緒なら何かできる』『野村に聞けばどうにかなる』と思ってもらえるような存在を目指しています。このポジションは誰にも譲りたくないですね。『野村の周りには面白い話がある』と思ってもらえるように常に高いアンテナを張り、積極的にアプローチしていく必要があると感じています」最後に、乃村工藝社の魅力について語ります。野村 「会社が私に多くの機会を与えてくれていると感じています。さまざまな場所に行かせてもらい、多くの接点を作る機会を提供してくれています。この環境のおかげで、さらに多様な人と出会うことができましたし、幅広い知識や情報を得ることができました。また私のアイデアに賛同し、一緒に行動してくれる仲間が多いことも魅力のひとつです。例えば、私がとある事業にも関心を持ち、突然『このイベントに行こう』と提案した時も、興味を示して付き合ってくれる仲間がいるんです。自分に可能性を感じてくれていると思うと、嬉しいですね」野村の語る未来像は単に個人の成長にとどまらず、乃村工藝社全体、そして業界全体に新たな風を吹き込む可能性を秘めています。人とのつながりを大切にし、常に新しい挑戦を続けるその姿勢は、これからの時代に求められる理想像を体現しているといえるかもしれません。 ※ 記載内容は2024年9月時点のものです