数々の歴史的建造物と豊かな自然が趣にあふれた、大阪の堂島川沿いに佇む東洋紡ビルの改装計画です。堂島川は“水の都”と呼ばれた大阪を代表する魅力的な景観の河川であるため、この立地の心地良さを味わいながら、生き生きと働くことができる場を目指しました。広場は、川沿いのデッキが建物まで延びているかのような外構で、シンボルツリーとして揺らめく柳の木を配置することで、川風を視覚的に感じられます。ファサードには、堂島川の雄大さや波の疎密から着想したデザインを取り入れました。ビル外壁を柔らかなウエーブ意匠で包むことで建物との調和を図りながら、新しい街のシンボルともなるよう意図しています。ロビーラウンジはファサードと協調した意匠とし、内外の連続性を持たせ、さまざまなかたちのソファやオリジナル音響を採用することにより、快適さを創出しています。また、中央の柱に温度や風など外の環境を可視化するビジュアルアートを施すことで、川風の心地よさを屋内でも感じることができるよう演出しました。各フロアには、多様な表情を見せる堂島川の写真を、またトイレ空間には波を繊細に表現したオリジナルのアートを配し、フロアごとの異なるカラーパレットが見る人に驚きを与えます。