概要
佐賀県伊万里市大川内山(おおかわちやま)地域は、佐賀鍋島藩が幕府への献上や諸藩への贈答品用として製作していた日本磁器最高峰と言われる「鍋島焼(なべしまやき)」の生産地です。その玄関口にある「伊万里・有田焼伝統産業会館」は、窯業従事者育成や鍋島焼の啓蒙展示を兼ねた施設となります。
今回は、鍋島藩窯大川内山開窯350周年となる2025年11月1日に合わせたリニューアルプロジェクトとして、当社はエントランス、資料展示室、総合展示室のリニューアル設計・施工を行いました。
課題・要望
佐賀鍋島藩の御用窯として将軍家などへの献上品を作陶する中で培われてきた技術や歴史などの情報を発信する機能を強化し、また、歴史を受け継ぐとともに研鑽されてきた技術を用いて作陶された現行作品の展示を通して、来訪者に鍋島焼および大川内山への関心を高め、散策と窯元めぐりを促すことができる空間へのリニューアルを目的としました。
解決策
エントランス、資料展示室、総合展示室は、それぞれの機能に合わせてデザインを行いました。
施設の入り口となるエントランス空間は、大川内山の散策を促すスターティングポイントとなることを目的としています。
まるで鍋島焼に没入したかのような空間になるように、鍋島焼を印象付けるブルーの壁面と、鍋島焼によく使用される図柄をちりばめているのが特徴です。
什器の脚には焼物の制作過程で使用する「ボシ」を、天板には陶片を敷きつめるなど、空間に身を置くだけで、この施設が焼物の生産地であることが伝わるようにしています。
資料展示室は、鍋島焼の歴史や技術への理解を深めることを目的としており、落ち着いた印象の空間に仕上げました。
総合展示室は、大川内山の「今」に焦点を当てており、現代の窯元を育む大川内山の豊かな水や風といった自然をイメージした空間としています。
展示は、江戸時代の献上の儀(幕府に瓶子・神前に供える酒器を献上していた儀式)を現代に復活させていることを伝える「献上瓶子(へいし)の紹介」、現代の30の窯元を紹介する「伊万里の窯元紹介」の2つで構成されています。
どちらもグラフィックと展示品というシンプルな構成ですが、「献上瓶子の紹介」においては、各献上先(各自治体や名城所在自治体)に合わせた図柄にフォーカスしており、瓶子に描かれた絵柄を拡大して見せることで、肉眼では気付かなかった細やかで繊細な職人技を絵画のように見て楽しめるようにしています。
「伊万里の窯元紹介」においては、実際に30カ所の窯元に取材・撮影を行いました。窯元の想いと作品を共に展示することによって、来館者の窯元への興味喚起を促し、実際の窯元巡りにつなげることを目指しました。
お客さまの声
乃村工藝社様の空間デザインや展示演出効果は、以下の通りと考えています。
①歴史の再構築: 鍋島藩窯として培われてきた技術や歴史の情報を整理し、来館者に産地(大川内山)の価値を明確に伝えることができました。
②デザインによる付加価値: 洗練されたエントランスホールや資料展示室の改装により、若い世代や外国人観光も響くモダンな空間へと一新することができました。
③ハブ機能の強化: 会館で知識を得た後に周辺の窯元を巡るという、観光の回遊性を高める演出ができました。
④情報発信の拠点化: 350周年という節目に合わせ、SNS映えする展示や最新の展示技術を導入することで、産地からの発信力を最大化させることができました。
プロジェクトメンバー
基本情報
- オープン
2025
- 所在地
佐賀県
- クライアント
伊万里市様
- ソリューション
デザイン・設計、サイン・グラフィックデザイン、什器制作、制作・展示施工、制作・内装施工
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