宮ヶ瀬ダム 水とエネルギー館 ウォーターミュージアム「水道ゾーン」は、出展から20年以上が経過したことで改修が必要となり、開館25周年に合わせてリニューアルされました。
展示のコンセプトは「水道用水供給事業」の学習機会創出(水道企業団の役割紹介)および、「水道水」に対する意識変容(水資源の再認識・地球環境学習)です。普段は知る機会の少ない、ダムに貯められた雨水が水道水として家庭の蛇口に届くまでの過程・設備・それらに関わる仕事に対する学びを通して、生活に必要不可欠な水道水への感謝や、社会インフラの重要性について学ぶことができます。
また宮ヶ瀬ダムを含めた周辺地域が観光地であることから、メインターゲットは周辺の小学校の社会科見学や、休日に来館するファミリー層としています。
大型スクリーンによるガイダンス映像、映像のドローンを操作して水道施設を調査するバーチャルコンテンツ、河川の水を浄化するフローのシミュレーションなど、実写とCGを組み合わせたゲーム性の高いデジタルコンテンツのほか、水道用水供給事業を支える企業団の仕事を疑似体験できる展示によって、目的層・無目的層のどちらでも短時間で楽しんでいただける内容となっています。
お客さまの最優先課題は、水道水供給事業という目に見えない「社会インフラ」への気づきの促しでした。
蛇口をひねると水が出るという「当たり前の日常」の裏側に、宮ヶ瀬ダムから家庭に届くまでの水の旅、24時間365日安心で清潔な水を供給する設備とスペシャリストたちの存在があることを、どのように訴求するかが求められました。また企業団は、一般にはあまり知られていない「水の卸売り」事業(取水~浄水~県・市への供給)を請け負っていることから、役割の顕在化も課題でした。
もう一つの課題は、利水事業が地球全体の水循環の一部を利用していることの紹介を通して、地球環境や水資源と日常生活の関係を考える機会を提供すると同時に、神奈川県の豊かな水事情を紹介することでした。
前者の解決方法は、(地中に埋まって)見えない設備と、(内容が分からない)水道スペシャリストの仕事の可視化でした。メインターゲットの特性を踏まえ、エンターテインメント性のある手法を多く採用しました。
1.“水の旅”では、大型スクリーンと神奈川県マップスクリーンの2画面を演出的に連動させ、宮ヶ瀬ダムに貯められた水が、構成段階から家庭へ供給されるまでの具体的な地点や経路(地上・地下共)を順に明示しました。
またバーチャルドローンによる探査モードでは、普段は目にすることのない建物や設備の内部、安全対策の現場を360度映像などで体感することができます。
2.“きれいな水をお届け”では、主となる浄化槽の仕組みをゲーム化し、アクシデントから正常復旧させる演出を通して、浄水フローの仕組みを紹介しています。
3.“水道マンのお仕事拝見”では、水質検査(微生物観察)・場内監視システム・実物のバルブ操作など、実務を展示化した体験を通し、親近感を醸成できるように努めました。
後者の解決方法としては、主に“水の旅”のエンディングを工夫しました。利水の最終地点「海」から蒸発した水が「雲」となり、再度ダムに「雨」をもたらすサーキュレーションを照明演出することで、水の循環を印象的に訴求しました。また神奈川県の地勢的特徴による2本の河川と、4つのダムの水源開発の歴史を取り扱うことで、水道水の安定供給に大きな役割を果たしていることを伝えています。
- オープン
2025
- 所在地
神奈川県
- クライアント
神奈川県内広域水道企業団様
- ソリューション
デザイン・設計、サイン・グラフィックデザイン、什器制作、環境演出装置設計・制作、コンテンツ設計・制作、制作・展示施工
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