空間創造の最前線で幾多の困難なプロジェクトを牽引する加藤 優至。2026年春からは東京に異動となり、最大手デベロッパーを担当する部署で手腕を振るっています。配属のギャップからキャリアをスタートさせ、いかに独自のスタイルを確立したのか。未知の領域に挑む突破力と空間の未来を切り拓く強いビジョンに迫ります。最適解を考え抜く。条件を削ぎ落とし、顧客の“本質”を見極めるスタンスアーバン・リテール推進本部に所属し、主任としてプロジェクトの推進を担う加藤。日々、レベルの高い案件と向き合う中で、自身の役割についてこう語ります。加藤「クライアントの営業窓口という立場と、プロジェクトの推進担当の二刀流で各種案件に従事しています。すでに受注している案件の進行だけでなく、今後の仕事を開発するための販促も行っています。現在の部署は少数精鋭で、量・質ともに高いレベルが求められる環境です。だからこそ、私自身が率先してプラスアルファの価値を体現しなければなりません。また、大阪時代に多くのデベロッパー様を担当して得た知見をチームへ還元し、業務を抱えるメンバーをサポートすることも、私の重要な役割だと考えています」最大手デベロッパーが手掛ける、量・質ともに求められる水準が高いプロジェクトを進行していく上で、加藤が仕事の根底に置いている価値観があります。加藤「常に心がけているのは、物事の本質を見極める視点です。相手が発している言葉の裏にある本音や、顕在的・潜在的なニーズがどこにあるのかを考えるんです。利益やコスト、労力といった条件ありきで提案の方向性が決まることも多いビジネスの世界だからこそ、一度そういった条件をすべて取り払い、『何が本当に最善か』を考え抜き、その後に条件を加味して着地点を探っていく。そんな複合的な思考プロセスを大切にしています」さらに、その価値観は加藤の業務範囲を自ら広げていく営業スタイルにも表れています。加藤「自らの業務範囲を限定せず、常に領域を広げる姿勢を大切にしています。未経験の領域であっても自ら問いを立て、新たな価値につながるアイデアを積極的に提案し、自発的に推進する方が自分らしく働けます。だからこそ、目先の利益にとらわれず、未来を見据えた好奇心を持ってコミュニケーションの幅を広げていく。そうした率先したアクションが、結果的にお客さまの期待を超える価値提供につながると実感しています」 新たな領域へ飛び込む。配属のギャップを乗り越え、“基礎・基本”を土台に挑んだ若手 ▲「阪堺電車花田口停留場上屋改修工事」阪堺電車提供学生時代は、世の中に影響を与える仕事を志し、広告代理店などを目指していたと話す加藤。就職活動の中で乃村工藝社に入社を決めた経緯について、次のように振り返ります。加藤「実は就職活動中、いただいた内定を承諾するか迷う場面もあったのですが、私の状況や考えを正直にお伝えしたところ、誠実に向き合っていただけたんです。その人間味と私への期待の高さが入社の決め手となりました。当時はイベント会社という認識で応募しましたが、入社後には空間プロデュースというディスプレイ業界の想定以上の奥深さに触れ、新しい環境で挑戦する面白さに気づくことができました」勤務地や担当市場は、当初の希望とは異なる環境でのスタートとなりました。しかし、その環境下において、加藤は独自の視点でモチベーションを高めていきます。加藤「当初の希望とは異なる環境からのスタートでしたが、どのような場所でも自ら楽しみを見出し、創り出していく発想を持っていました。まずは与えられた場所で全力を尽くそうと考えたんです。私は幼少期にサッカーをしていたのですが、父の仕事の都合で転勤族として育ったことから、行く先々で新しいサッカーチームに加わる経験をしてきました。そのことから、どんなコミュニティでも目立つ能力に頼る前に『基礎・基本』を備えて輪に入っていく姿勢が不可欠だということを学びました。仕事も同様で、まずはどこでも通用する土台を固めるべく『10年は修行』と捉え、誰よりも実務の数をこなすことを意識しました」土台を築きつつも、持ち前の好奇心で新しい仕事を開拓していきます。入社数年目には、前例のない路面電車の駅舎改修プロジェクトにも自ら手を挙げたと加藤は振り返ります。加藤「行政からのご相談で、コンセプトやデザインといった企画部分の費用が限られた枠組みでの案件でしたが、『前例のない新しいチャレンジとしてやってみたい』と強く惹かれました。道路を掘り返して駅舎を建て直すという大掛かりな工事だったため、社内からは『空間ディスプレイの会社が受ける仕事ではなく、建設や土木業界の領域だ』との懸念も出ましたが、だからこそ挑む意義があると感じたのです」社内の懸念や厳しい予算の壁に対しても、加藤は強い熱量をもって道を切り拓いていきます。加藤「予算の壁を越えるほどの熱量やビジョンを伝え、若いメンバーと共に新たな経験を積みたいと上司を説得しました。結果的に新入社員とタッグを組み、実直に現場を完遂しました。予算や前例がない中でも、熱量を伝えて周囲を巻き込み形にしていく。未知の領域へ踏み出したこの時の経験は、今の私の大きな原点であり、自ら業務範囲を広げ、新たな価値を提案していく現在の働き方に直結しています」 複雑な利害をまとめ上げる。実直な調整と情熱が生み出した、空間創造のダイナミズム▲「中座くいだおれビル」数々の現場を通じて実直に経験を積み重ねてきた加藤は、やがて巨大なプロジェクトを牽引するようになります。入社4年目で自ら志願して担当した「中座くいだおれビル」のリニューアル案件について、当時の想いを語ります。加藤「この案件は、私の20代から30代を象徴するプロジェクトであり、社内やお客さまに一番育てていただいた仕事です。当時、これだけ規模の大きなプロジェクトを若手に任せてもらえること自体が非常にうれしかったですし、ワクワクしました。コロナ禍を経て再始動した際には、お客さまから『加藤さんにこのまま任せ続けたい』と言っていただき、強い責任感を持って取り組みました」長期にわたるプロジェクトではプランの全面変更もありましたが、お客さまからデザインの方向性について全幅の信頼を寄せてもらい、当社のクリエイティビティに委ねていただくことができたと加藤は語ります。加藤「当社のデザイナーも含め、チーム全員でお客さまの領域までしっかりとケアしながらプロジェクトに従事していたことが大きかったと思います。また、社内外含め総勢40名にもおよぶ関係各社が集まる中で、幹事的な立場でそれぞれの意見をすり合わせ、お互いの意見を尊重しながら着地点を見出す経験を積めたことは、自分自身の大きな成長につながりました」また、2023年に着手した「日楽座相撲ホール」のプロジェクトでは、施設側と出店者側の間に立ち、複雑な状況下での調整が求められました。加藤「スケジュールや施設側の要望など、高い次元のオーダーが重なる案件でした。私はすべての条件を整理し、メリット・デメリットを可視化して、関係者全員が納得して決断できるプロセス構築を心がけました。各部署の意図を丁寧に汲み取り、全体会議で最適な着地点を見出すなど、クライアント内の調整をサポートしたことがスムーズな推進の鍵になったと感じます」この案件では、予算をいかに捻出するかという課題に対しても、加藤ならではの柔軟な発想が活かされました。加藤「オープンの祝い花を装飾に活かす『祝い提灯』のアイデアを提案し、採用していただきました。誠意をもって考え抜いた提案であれば、困難な状況でも必ず受け入れていただけます。自らの行動で事態を好転させ、仲間を増やしていけることこそが、この仕事の最大の醍醐味です」迷ったら厳しい方を選ぶ。前例のない領域へと枠を広げ、空間の未来を先導する営業という役割に留まらず、幅広い業務を自ら巻き取っていく加藤。そうした立ち回りを実現するためには、社内での連携や仲間づくりが欠かせません。加藤「思いや熱量をしっかり伝えれば、周りは必ず耳を傾けてくれます。そのためにも、プロジェクトメンバーだけでなく、同じフロアや建物にいる人たちとの仲間づくりを日頃から意識しています。オフのコミュニケーションも大切にし、フットワーク軽くさまざまな場に顔を出すようにしています。そして何より、言葉に説得力を持たせるために、しっかりと実績を残すことにもこだわっています。実績が伴ってこそ、影響力を持って新しい挑戦ができると考えています」実績と社内外の信頼を積み重ねてきた加藤は、今後挑戦していきたい目標についてこう語ります。加藤「これまでは空間をつくることが主でしたが、今後は建築的な知見も交えながら、ブランディングや運営を見据えて全体最適を提案できる、『コンサルをコンサルする』ような新しいビジネスモデルを作りたいと考えています。また、チームとしても、常に先の展開を見据え、自ら『船を先導していく』ような集団にしていきたいです。自分たち主導で考える時間を生み出し、より本質的な価値の提供に時間を使える組織を、自分のチームから広げていきたいですね」空間の未来を先導し続ける加藤は、乃村工藝社で働く魅力と自身のビジネスの哲学を胸に、これから出会う仲間との共創を見据えています。加藤「この業界は、常に未知の壁に立ち向かう環境ですが、それを面白いと思える方には最高の会社です。まずは着実に『基礎・基本』を徹底し、その土台の上に自分なりの挑戦を重ねていってください。また、もし選択肢が2つ現れたなら、ぜひ自分にとって『厳しい方』を選んでみてください。リスクを恐れずその選択を積み重ねることが、気づけば大きな財産となります。私たちが生み出す空間は、エンドユーザーに直接喜びを届け、世の中に大きな影響をもたらすことができます。この想いを共有し、共に挑戦できる方と働ける日を楽しみにしています」決して枠に収まらず、真摯に相手と向き合い続ける加藤。リスクを恐れず前例のない領域へと踏み出すその情熱は、これからも周囲のプロフェッショナルたちの知見や熱量を引き出しながら、新たな空間の可能性を力強く先導していきます。※ 記載内容は2026年4月時点のものです