WE ARE NOMURA

発注者の“代弁者”として信頼を築く。乃村の空間づくりを支えるコンストラクションマネージャー

地元県庁と設計事務所を経て乃村工藝社へ転身し、コンストラクションマネジメント部で活躍する小室 加津彦。プロジェクト関係者の橋渡し役として信頼を築きながら新しい役割を確立し、社内表彰を受賞しました。硬質な現場から華やかな空間づくりの世界へ挑戦した小室の経緯と今後の展望に迫ります。

プロジェクト成功のカギは“対話力”。技術と信頼で支える存在へ

小室が所属するコンストラクションマネジメント部は、内装空間のプロジェクト管理や大型・特殊案件の事業者支援を行う部署です。プロジェクトの企画段階から参入し、クライアントの代わりに技術的な部分を包括的にサポートしています。
小室はその中で、主に内装関係のコンストラクションマネジメント(CM)を担当しています。

小室 「建物の新築や改装に際し、技術的なマネジメントを行うのが主な業務です。具体的には、内装・展示工事におけるスケジュール管理・品質管理・リスク管理などをお客さまの代行者として担当しています。また、お客さまやプロジェクトの関係者と社内メンバーの間に立って、プロジェクト全体をスムーズに進める調整役でもあります。

商業施設やホテルなど、特定の分野に限定されることなく、さまざまなお客さまのプロジェクトに携わっています」

CMやプロジェクトマネジメント(PM)として、プロジェクトを成功に導くうえで小室が最も大切にしているのはコミュニケーションです。

小室 「プロジェクト全体を俯瞰的に見ながら、各関係者の立場や意見を丁寧にくみ取ることを心掛けています。必要に応じて会議の前に関係者とコミュニケーションをとり、“潤滑油”のような役割を担っています」

単なる調整役にとどまらず、クライアントの代弁者として社内外の関係者と信頼関係を築くことで、技術的な提言や判断を現場に届ける橋渡し役も担っています。

小室 「技術的な内容で、お客さまが言いづらい点を代弁し、率直に工事の是非や工程についての意見を設計者や施工者にお伝えしています。ただし、それを伝える前に事前調整を行い、丁寧に対応するようにしています。
“代弁者”ではあるんですが、ただ伝えるだけじゃなくて、関係者みんなに配慮しながら、言うべきことは丁寧に伝える。そういう“調整の質”をすごく大事にしています」

こうした調整力を発揮できる背景には、小室の多様な経験と乃村工藝社が長年培ってきた空間づくりの知見があります。

小室 「さまざまな関係者との対話を通じて、お客さまにとって最適な解決策を見つけることを重視しています。コストを優先すべきか、スケジュールを重視すべきかなど、プロジェクトごとに異なる課題に対して、乃村工藝社が空間づくりで培ってきた豊富なノウハウを活かして対応しています」

硬質な現場から華やかな舞台へ──挑戦が導いた転機

▲ KANDA SQUARE

大学院で建築史を学んだ小室のキャリアは、地元・福島県庁から始まりました。公共施設の維持管理を担当しつつ、庁舎建設や津波被害にあった合同庁舎の復興計画にも携わります。

小室 「県庁では庁舎建設と既存庁舎の改修に監督員として携わりました。建物の維持管理や耐震工事などを3年間で一通り経験でき、担当した庁舎が竣工したタイミングで次のステップに進むことを決意しました」

その後、地元の設計事務所に転職。設計から施工管理まで一人で幅広く担当する中で、ある出会いが転機となります。

小室 「勤めていた設計事務所で銘菓メーカーのアンテナショップの設計を担当した際、並行して本社の建設が行われており、内装工事に触れる機会がありました。そこで初めてディスプレイ業界を知り、華やかで面白い仕事だと感じたんです。
転職活動の際に乃村工藝社を知って、アミューズメントパークの空間づくりなど、エンタメ系の仕事にも惹かれました。これまで経験のないディスプレイ界に挑戦したいという想いが芽生え、入社を決めました」

入社後、設計部にて担当したのが神田エリアに計画されたKANDA SQUAREプロジェクトです。住友商事さまが神田に建設した21階建てオフィスビルの商業フロアで、小室が一実施設計を担当しました。

小室 「神田の歴史や文化を現代的なデザインと職人の伝統技法で融合させ、革新的でありながら誰もが入りやすい空間を目指すという挑戦的な案件でした。壁面にレンガや左官という伝統的な手法を採用しましたが、高い耐震基準をクリアする必要があり、塗装などと比較して重量がある素材での施工が大きな課題でした。
住友商事さま、デザイナー、職人が直接コミュニケーションを取る『ギルド』という方法でプロジェクトを推進し、技術的な問題を一つずつ解決していきました」

2年という限られた期間での完成が求められる中、特殊プロジェクトをスムーズに進行できたことは自信にもつながったと、小室は振り返ります。

小室 「優秀なデザイナーやギルドメンバーと協力し、困難な技術課題を無事乗り越えることができました。お客さまにも大変喜んでいただき、その後の地震でも壁面に損傷がなく、プロジェクトの成功を実感しました。
また、前職での発注者側の経験により、事業者・施工者・デザイナーそれぞれの立場を理解した上で、各種の調整をできることが自分の強みだと考えています」

困難を乗り越えるしなやかさと対応力

▲リーガロイヤルホテル大阪 ヴィニェット コレクション

2023年11月、小室は2人目の子どもが生まれたのを機に1カ月間の育児休暇を取得しました。それは、リーガロイヤルホテル大阪の客室改修プロジェクトが始まるタイミングでした。

小室 「1人目はコロナ禍でリモート勤務のため子育てと仕事を両立できましたが、2人目はプロジェクトの兼ね合いで大阪との往復移動が必要になります。

そこで育児に集中するため1カ月の育休を取得しました。復帰後は週2~3回大阪へ出張する生活を1年半続け、家族の協力によりプロジェクトを完成まで導くことができました」

このプロジェクトは社内だけで40人超の多職種が関わる、約1年半に及ぶ大規模な客室改修。小室はそこで新たな挑戦を担います。

小室 「従来はプロジェクトの進行管理を営業が担当していましたが、リーガロイヤルは社内メンバー40人超が関わる大規模案件で、より専門的な管理が必要でした。

そこで私たちコンストラクションマネジメント部が、お客さまとの窓口業務、プロジェクトの進行管理、各部署の調整を一手に引き受ける『社内PM』という新しい役割を担うことにしました」

この仕組みにより、従来は各部署がバラバラに対応していた業務を一元化。お客さまの質問への回答、スケジュール調整、設計変更の検討なども全て社内PMが取りまとめることで、効率的なプロジェクト運営を実現しました。

小室 「新しい仕組みの導入により、同じ質問が複数部署から重複して出ることを防ぎ、スケジュール変更やコスト管理も一元化できるため、プロジェクト全体の無駄を大幅に削減できました。

さらに、全ての主要な打ち合わせに社内PMが参加することで、関係者間の情報共有が格段にスムーズになり、プロジェクト全体の透明性も向上したと感じています」

この取り組みは、2024年度の社内表彰にもつながりました。

小室 「社内表彰を受けたこともあり、社内PMへの注目も高まっています。ただし、全てのプロジェクトに同じ方法が適用できるわけではありません。

今後はプロジェクトごとの特性に応じて柔軟にアレンジし、より多くの案件に展開していきたいと考えています。社内PMという新しい役割を乃村工藝社全体に広げることで、プロジェクト推進力の向上に貢献していきたいですね」

空間の裏側に、確かな信頼とプロフェッショナリズムを

コンストラクションマネジメント部として、今後どのような存在を目指すのか。小室は部署の展望を語ります。

小室 「『乃村工藝社に任せれば、プロジェクトが円滑に進む』とお客さまに認知される部署を目指しています。そのためにもCMとしてプロジェクトを推進できるメンバーをもっと増やしていきたいですね。

また、個人としては特定のジャンルにこだわりはありませんが、アミューズメントパークのようなプロジェクトにもいずれ挑戦していきたいと考えています」

信頼と経験を積み重ねる日々の中で、やりがいを感じる瞬間は数多くあります。

小室 「プロジェクトには大小さまざまな山場がありますが、それぞれを乗り越える度に達成感を得られます。完成時の歓びはもちろん、プロジェクトの要所要所で感じられるやりがいも、この仕事の大きな魅力だと思います」

乃村工藝社の魅力について、小室は独自の視点で語ります。

小室 「高揚感やワクワク、ドキドキといった人の感情を動かす空間を生み出す会社だと思います。デザインや制作に直接携わるだけでなく、プロジェクト全体をまとめる立場として関わることも可能で、多様なアプローチで空間づくりに参画できることが魅力です。

話題になる建物には必ずと言っていいほど関わっているため、刺激的な環境で、子どもに『これをパパが作った』と言える誇りも感じられます」 

プロジェクトの規模や内容に関わらず、関係者一人ひとりの声に耳を傾け、丁寧に調整を重ねる──。その姿勢と豊富な経験を活かし、小室はこれからも、乃村工藝社の空間づくりを縁の下から力強く支えていきます。

 

※ 記載内容は2025年5月時点のものです

小室 加津彦(こむろ かつひこ)
 

主に大型施設内装、大規模イベントのPM・CMを担当。2018年に福島県庁、設計事務所を経て乃村工藝社へ入社し、入社当初は設計部へ配属され大型商業施設やアミューズメント施設の実施設計を担当。2021年にオリンピック・パラリンピック業務完了を契機に現部署へ異動し、現在に至る。

関連リンク

Back Number過去のインタビュー記事

乃村工藝社SCENES
  • TOP
  • WE ARE NOMURA
  • 発注者の“代弁者”として信頼を築く。乃村の空間づくりを支えるコンストラクションマネージャー
PAGE TOP
Contactお問い合わせ

お問い合わせ/お見積もり依頼/資料請求は下記よりお気軽にご連絡ください。
お問い合わせの多いご質問や、よくいただくご質問は別途「よくあるご質問」ページに掲載しておりますので、
ご活用ください。