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主軸となるのはコミュニケーション。体験をデザインすることで実現するソーシャルグッドな空間

コミュニケーションを軸とした空間デザインを得意とし、オールラウンドプレーヤーとして幅広い領域で活躍する空間デザイナー、古賀 紗弥佳。入社以来、体験をデザインすることにこだわってきた古賀が、乃村工藝社で働く魅力、仕事をする上で大切にしてきたことを語ります。

 

コミュニケーションを軸とした空間デザインを主に担当。デザインするのは「体験」

クリエイティブ本部 第一デザインセンター デザイン3部に所属する古賀。現在、ルームチーフとしてメンバーと共にさまざまなプロジェクトを推進しています。

古賀 「特定の領域に特化するチームが多い中、オフィス、商業施設、ショールーム、展示会など、私たちのチームが手掛ける領域は多岐にわたります。

また、企画の立ち上げから関わることが多いのも、他のデザインチームと異なる点。お客さまの課題を吸い上げ、それを解決していくのがデザインの役割という考えのもと、コンセプト作成のフェーズからプロジェクトに携わっています」

古賀が得意とするのは、コミュニケーションを軸とした空間デザイン。徹底的にヒアリングを重ねながら課題を吸い上げ、デザインに落とし込んでいく作業が欠かせないと言います。

古賀 「たとえば、デザインコンセプトと旗艦店デザインを担当している多店舗プロジェクトでは、地域の方々とのコミュニケーションをキーワードに、ただ商品を購入するだけでなく、その地域の方々がもっと気軽に立ち寄れるような空間づくりに取り組んでいます。

お客さまや店舗スタッフなど現場サイドから直接話を聞いたり、その場に足を運んだりして初めてわかることが少なくありません。たくさんの方々と意見交換しながら、困りごとや鍵となるような言葉を拾いあげ、そこから着想を得て空間デザインへと昇華させていくというのが、デザインの基本的なプロセスです」

現在、古賀は複数のプロジェクトを並行して進行していますが、いずれもお客さまと共創しながらプロジェクトを進めていくのが古賀のスタイルです。

古賀 「発注側/受注側と立場は違いますが、どのプロジェクトもお客さまと一緒につくっていくという気持ちで向き合っています。実際、お客さまと共創の形をとることで、できあがった空間に対する愛着の度合いがまったく違ってくるんです。完成した空間を使い続けるのはお客さま。いかにお客さまを巻き込んでいくかが重要だと考えています」

入社以来、オールラウンダーとして幅広い空間デザインを手掛けながらも、とりわけコミュニケーションスペースの企画・デザインで力を発揮してきた古賀。大切にしていることがあります。

古賀 「空間そのものではなく、“体験”をデザインすることを心がけてきました。“おしゃれ”とか“キレイ”といった美的感覚が人の主観に左右されるのに対して、“使い心地”とか“居心地”といった空間の中で起こる体験に紐づく感覚には、普遍的なものがあると思っているんです。

たとえば、親子連れが日常的に訪れる場所がモダンすぎても違和感があり、リラックスできる空間の方が好まれるように、デザインはあくまで課題を解決するためのツールと捉え、体験価値に主眼を置いた空間デザインを大事にしています」

 

子どもたちの好奇心の醸成を目的とした、体験型ミュージアムの空間デザインを担当

▲パナソニック クリエイティブミュージアム AkeruE

デザイナー職を志しながらも、就職活動中は空間づくりに対する具体的なイメージがまだなかったと話す古賀。さまざまな企業を検討する中で乃村工藝社に入社を決めた理由についてこう話します。

古賀 「ディスプレイ業界最大手ということで、オフィスやショップの内装だけでなく、文化施設やモーターショーなどの大きなイベントなども手掛け、そのデザイン領域や数の豊富さに惹かれていました。いろいろな体験ができるのではないかと考えたことが入社の決め手です」

入社後、古賀が配属されたのは企業ミュージアムや展示会、セールスプロモーションなどを担当する事業本部。数年間、展示会担当チームで比較的小規模な案件に携わりますが、年次が上がるにつれて常設展や大規模な展示なども任せられるように。

その後、パナソニックグループ内のプロジェクトに多く関わるようになった古賀は、展示会に限らず、オフィスやショールームなどさまざまな分野を経験。そこで携わったプロジェクトのひとつが、『パナソニック クリエイティブミュージアム  AkeruE(アケルエ)』です。

古賀 「AkeruEとは、有明のパナソニックセンター東京内にあった理数の魅力と触れ合うための体感型ミュージアム RiSuPia(リスーピア)の後継施設のこと。STEAM教育(※)をベースに、SDGsなどをテーマにした探求学習を実践する場で、新たな社会課題に向き合う人材の育成をめざし、子どもたちの知的好奇心とひらめき力を育む場として誕生しました。

デザインコンセプトは、“よごしていい感・自分でつくれそう感・組みかえられる感・枠にはまらない感・みんなでセッション感”の5つ。プロジェクト立ち上げ当初、ブレストした際にメンバーが発言した口語的な言葉をあえてそのままコンセプトとしています」

コンセプトメイキングの過程では、子どもたちの想像力にブレーキをかけないような空間のあり方を徹底的に議論したと言う古賀。さまざまなメンバーを巻き込みながら形にしていきました。

古賀 「『とりあえずやってみよう』という雰囲気があり、企画・運営を担う他社のメンバーも一緒になってアイデアを出し合いながら、自分たちで実際に体験しながらコンセプトを固めていきました。

たくさんのアーティストに参加していただいたり、研究者とアートの原理について話しながら具現化したり、工房ではエデュケーターに常駐いただいたりと、実に総勢100名以上が関わっています」

2021年4月にオープンしたAkeruE。大きな反響があるといいます。

古賀 「毎日のように小中学生の団体のお客さまが入っているなど、かなりの盛況ぶりです。数カ月単位でのアカデミックなプログラムも組んでいるのですが、参加者を面接して決めなくてはいけないほど応募が集まり、できあがる参加者の作品もすばらしいものばかりです。多くの方に利用いただける施設になって本当に嬉しく思います」

※STEAM教育:Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)を統合的に学習する「STEM教育」に、Art(芸術)を加えて提唱された教育手法のこと

※『パナソニックセンター東京』 の公式サイトはこちら
※『パナソニック クリエイティブミュージアム AkeruE』の公式サイトはこちら
※『パナソニック クリエイティブミュージアム AkeruE』 の空間デザインについて、ノムログで詳しくご紹介しています

 

ショールームをコミュニティスペースへと改装。地域と成長できるコミュニティづくりを

▲ KeiyoGAS Community Terrace

もうひとつ、古賀がこれまでに携わった中でとくに印象に残っているというのが『KeiyoGAS Community Terrace』。千葉県市川市にある京葉ガスのショールームを、地域の方々に開かれたコミュニティスペースへと改装したプロジェクトです。

古賀 「お客さまが“生活を総合的にサポートする企業”へとリブランディングする考えをお持ちだったことから、“脱ショールーム”を提案させていただいたんです。

ガス器具などの商品を置かないことは、ガス会社のお客さまにとってはかなり大胆な決断でしたが、結果的に、地域社会から共感を得られる企業活動をめざすブランドコンセプトを体現するような空間になったと思っています」

古賀はプランナーと共に企画と空間デザインを担当。地域の方々の自由な活動やさまざまな過ごし方を受け入れ、誰もが自分の居場所と思えるようなデザインになっていると言います。

古賀 「デザインのコンセプトは“縁側”。“KeiyoGAS Community Terrace(通称:てらす)”という名称には、“縁側=テラス”のように、気軽に立ち寄ったり休憩したりできるような、人と人、街と暮らしの接点となるような空間になってほしいとの想いが込められています。

“こどもと、おとなと、まちを照らす。”というスローガンを掲げ、利用する方がコミュニティづくりに参加できる仕かけや、地域の方々の暮らしや活動をサポートする取り組みなども整備し、市民や地域と共に成長していくようなコミュニティづくりをめざしました」

市民や地域団体の方々と一緒に、考えながらつくりあげていったと言う古賀。ここでもプランナーと共に現地の声を拾って形にしていきました。

古賀 「コンペに備えて周囲の施設や通りを歩く方々を観察するなど、プランナーが中心となって、細かいところまで徹底的に調べ上げていきました。『居場所がなくて困っている』『コロナ禍で子どもたちの遊び場が減った』など、市民や地域団体の方々へのヒアリングから課題や困りごとを吸い上げ、具体的なデザインへと落とし込んでいきました」

近年、より居心地を重視した温かみのある空間づくりができるようになったと話す古賀。産休・育休を経験したことが、デザインに反映されていると言います。

古賀 「子どもが生まれたことで、新しい感覚が芽生えた実感があります。社会や地域とのつながりを持てずに悩んでいる子育て中の友人の話を聞いたりする中で、“居場所”となるような空間の必要性を痛感しました。

気軽に過ごせる居心地の良い場所のデザインや、ウェルビーイングにより重きを置くなど、KeiyoGAS Community Terraceのプロジェクトでは、子どもと過ごすことで得られた新しい感覚が、空間デザインにうまく活かせたのではないかと思っています」

※『KeiyoGAS Community Terrace』のプロジェクトついて、ノムログで詳しくご紹介しています

 

生活の中の空間づくりを通じて、ソーシャルグッド、ウェルビーイングな取り組みを

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生活の中にある空間への興味が、ここのところますます高まっていると話す古賀。自身の空間デザイナーとしての方向性をこう展望します。

古賀 「いつもそこにある“居場所”と呼べるような場所をつくっていきたいと思っています。

たとえば、好きと感じる空間というだけで心が豊かになるときがあるもの。空間デザインによる豊かさを、少し大袈裟に言うなら、社会インフラのように、誰もが当たり前に享受できるようにできたらいいなと。そういう空間に触れる機会を増やしていけたらと思っています。

また、あるインタビューで後輩の子が『後ろめたくないデザインがしたい』と言っていたのですが、私もそれに同感です。最近では、空間デザインにもSDGsに基づいて、既存素材などのアップサイクルの試みを最大限に取り入れています。生活の中の空間づくりが、ソーシャルグッド、ウェルビーイングな取り組みにおのずとつながっていけばいいですね」

そうした取り組みに関われるのは乃村工藝社だからこそ。職場の魅力について、古賀はさらに次のように続けます。

古賀 「営業やプランナー、ディレクター(制作管理)、それから協力社の方々など、社内外でさまざまなプロフェッショナルの方と一緒に仕事ができる機会は業界随一。そうしたプロフェッショナルな方々と大人数でひとつの仕事を進めることが多いので、会話の中で思いもしなかったアイデアが引き出されることも。これほど刺激的な環境はないと思っています」 

 

 

古賀 紗弥佳(こが さやか)
 

2008年乃村工藝社に入社。空間デザイナー。オフィス、教育施設、ショールーム、展示会など分野を問わず空間デザインの設計を行う。昨今は、主にコミュニケーションスペースの企画・デザインを担当。「体験」をデザインすることを大切にしている。

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