長崎県島原市中心市街地「万町(よろずまち)アーケード」にある元綿問屋旧堀部家住宅をワーケーション施設にコンバージョンするプロジェクトです。島原市は日本名水百選に指定されている「水の都」であり、市街地の至る所に流れる雲仙山系の豊富な湧き水は市民生活に欠かせないものとなっています。1848年に建てられた旧堀部家住宅はこの湧水を敷地に引き込んでおり、庭園や屋内に静かな水音が聞こえる独特の風情を持った建築です。設計方針としては、地元市民も慣れ親しんだ建物の特徴と、中心市街地という立地を生かし、島原市民、ビジネスマン、観光客、全ての人たちにとっての”まちのフロント”となり、中心市街地の活性化や多世代市民交流の推進に寄与する施設を目指しました。
島原市の地域特性を生かした中長期滞在型施設として整備し、商店街活性化を含め周辺地域との連携を見据えた施設関係人口の創出や移住定住人口の増加といった地域活性化の促進に資する施設として活用できることが要望されました。
地域活性化の促進に資するワーケーション施設であるためには、市民や観光客で賑わう交流施設であると同時に静けさや癒しが得られる宿泊施設でなければなりません。この静と動の二面性の両立が設計のポイントでした。庭園を含む北側の宿泊ゾーンと南側の交流ゾーンを隔てるラインに既存壁などからなる境界線を設定し、さらに構造・防音・プライバシー性能の向上を目的とした構造壁を付加しました。宿泊2室それぞれのエントランスはアーケード側、施設裏側と別個に設けています。その他、伝統建築の風合いのある交流ゾーンとするために梁、柱、建具などは既存のものを生かし、アーケード側に大きく開かれた通り土間にはカフェを新設、既存の小上がりから2階への吹き抜けと階段も新設し、2階コワーキングスペースへの導線の強化と1階空間全体の開放感を演出しました。
- オープン
2023
- 所在地
長崎県
- クライアント
長崎県島原市様
- ソリューション
デザイン・設計(※)
- ※
「INTERMEDIA・乃村工藝社・paak design 特定建設関連業務委託共同企業体」として受託
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