東日本大震災により被災した石巻市の博物館「石巻文化センター」の移転新設プロジェクトです。
震災後、石巻市は市内の新たな文化拠点となる劇場や博物館などの複合文化施設を計画し、「石巻文化センター」を受け継ぐ「石巻市博物館」の整備が進められました。
石巻市博物館は、コンセプトを「大河と海が育んだ石巻の豊かな歴史を発信する博物館」とし、歴史文化展示室や毛利コレクション展示室、高橋英吉作品展示室、石巻にゆかりの先人展示室、そして企画展示室で構成されています。
展示空間体験の特色は、歴史系博物館の新しい在り方として「風景」に注目した展示や、現代美術作家のヤマガミユキヒロ氏とのコラボレーションによる「歴史=時間」を共有する展示をはじめ、複合文化施設の建築意匠と共鳴する展示空間デザインや、実物に没頭し、現場を想像し、歴史を学習できるハンズオン展示などであり、来館者の興味・関心を多角的にひきだす工夫を随所に設けています。また、貴重な資料を借用公開できる「公開承認施設」要件を満たす企画展示室での展覧会もおこなわれていきます。
東日本大震災により被災した博物館施設を移転新設するリニューアルです。
課題は、文化財レスキュー事業によって修復された貴重な収蔵資料の展示活用方法の具体化をはじめ、海岸部や農村部、市街地といったさまざまな地域で構成される石巻市の市民が共有できる歴史・文化の個性の描出、劇場とともにある複合文化施設としての魅力度アップなどがあげられます。震災からの復旧・復興を文化教育行政や観光振興などの面から進めることが期待されました。
歴史文化展示室では、市民に親しみを持って石巻の歴史や文化に触れてもらうべく、実物資料を堪能できることに加えて「石巻に暮らす人」に焦点を当て、石巻という場所で人びとが各時代をどのように生き、乗り越えてきたのか、来館者の想像が膨らむ展示手法を重視しました。
こうした考え方から、室内には市内の「風景」を写真・動画・イラストで多数展示し、日常生活で見慣れた風景=場所が昔と今がつながる歴史の舞台にみえてくる工夫や、大河のように途切れることのない時間の流れのなかに今があることを感じる展示空間を構成しました。歴史や文化を具体的にたどる5つの時代の展示では、各時代を生きた人びとが手にした感覚を体験できる「ハンズオン展示」と、現在の石巻に息づく歴史や文化の話題をビジュアル誌スタイルで編集した「コラム展示」を散りばめています。幅広い世代が石巻の昔と今を“お茶っこ”気分で一緒にわいわい楽しめる、さまざまな工夫を盛り込んだ空間が来館者を迎えます。
また、旧石巻文化センターから継承された「毛利コレクション」と「高橋英吉作品」の展示室では、作品を時系列に巡る構成に加え、毛利氏や高橋英吉氏の人生、石巻で過ごした日々などの作品の背景を丁寧に解説し、作品に込められた想いを知りながら鑑賞してもらう場としました。これらの展示と連なる動線のなかに、各界で活躍した先人たちを紹介する「石巻にゆかりの先人たち」展示室をレイアウトしています。
- オープン
2021
- 所在地
宮城県
- クライアント
石巻市様
- ソリューション
デザイン・設計、什器制作、環境演出装置設計・制作、コンテンツ設計・制作、制作・展示施工
- 受賞
「Sky Design Awards 2023」ShortList(Multimedia & Visual included Exhibition部門)
「2022年照明施設賞」東北支部表彰 照明優秀技術賞
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