本施設は特別天然記念物“アマミノクロウサギ”の保護研究施設です。施設名の「くるぐる」はシマグチ(奄美の方言)で「黒々とした」という意味で、アマミノクロウサギの毛色と、命がぐるぐると循環するイメージを表しています。
ここでは来館者がウサギのスケールになって夜の森を冒険することができます。急に飛び出してくる車や巨大な天敵に驚き、自分より背の高い草花をかき分けてブラックライトに反応する森の生き物たちを探していきます。ウサギの視点になることでその気持ちや恐れに気付き、共感を育むきっかけとなるよう設計しています。さらには、保護されたウサギの治療室を来館者に完全公開することで、交通事故などで怪我を負っている現実を提示し、奄美大島の自然に抱かれながら、保護したウサギを野生復帰まで見守り、人とウサギの共生について考える施設となっています。
観光客はもちろん奄美大島に暮らす方々にとっても、アマミノクロウサギは「知ってはいるが自分の日常とはあまり関係のない」存在になっているのが現状です。そのためウサギを取り巻くロードキル(交通事故)や野ネコ(飼い猫が野生化)の襲撃といったさまざまな問題や、共生する奄美大島固有の生物多様性の素晴らしさも、自分事として捉えにくくなっているため、来館者に向けては冗長な説明を並べるのではなく、直感的に身体と心で理解できるアプローチが必要とされました。
この施設の最大の特徴は、来館した子どもたちがウサギのスケールを体感するため、通常の5倍に拡大・再構築された奄美の夜の森を冒険できることです。自分の背丈より高い草花をかき分けて、森の生き物を探していく中で、飛び出してくる車や巨大な天敵の怖さをウサギの視点から体感することにより、ロードキルや野ネコなどウサギを取り巻く脅威を自分事として考えるきっかけとしています。また、保護されたウサギの治療室の完全公開により、傷つき血を流しているありのままの姿を直視する場を設けています。
楽しく学ぶことも目を背けたくなる現実も、自分で体感し、身体と心で理解できるように構成し、この特別天然記念物への共感を育むことを目指しました。
- オープン
2025
- 所在地
鹿児島県
- クライアント
大和村様
- ソリューション
企画・基本構想、デザイン・設計、サイン・グラフィックデザイン、什器制作、環境演出装置設計・制作、コンテンツ設計・制作、制作・展示施工、制作・内装施工、オリジナル商品開発コンサルティング
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