水平社創立100周年記念事業 水平社博物館展示リニューアル

平和と人権の確立を目指す部落解放運動の要となった水平社の歴史を伝える博物館です。このたびのリニューアルは1922年3月3日から大きな節目となる全国水平社創立100周年記念事業です。
近年、「人権擁護施策推進法」や「アイヌ新法」の制定、SDGsや国際博物館会議(ICOM)での博物館の定義見直しなど、人権を重視する傾向がますます高まっています。「人の世に熱あれ、人間に光あれ。」と全国水平社創立大会で読み上げられた水平社宣言は、日本で初めての人権宣言であり、また被差別マイノリティが発信した世界で初めての人権宣言です。
人権について語るとき、水平社発祥の地に設立された人権情報発信拠点である水平社博物館の存在意義はとても大きいといえます。

リニューアルでは、運動の根本精神となった「水平社宣言」をあらためてクローズアップしました。また著名人や身近な人、芸術作品、公募作品から名言を集め、言葉の力による感動と説得力をもたらしています。同時に、一般の方々の言葉も随時追記できる更新性の高さも特徴です。加えて、多様性を重視した「互いに違いを認め合おう」という気持ちを展示に組み込みました。


【社会課題/お客様の課題/ご要望】
プロジェクトの冒頭で、駒井館長はこのようにおっしゃいました。
「見えない、見えにくい部落差別をなくすのは困難です。だから、「人権意識>差別意識」という視点で、人権意識に注目しながら、差別を克服していきたい。それは個人のレベルも、社会のレベルも同じです。」
「私たちは同じ人間です。でも違いがあります。だからこそ楽しい、面白いと感じてもらいたい。違いを肯定したいのです。」
また理事長からは以下のようにご要望いただきました。
「水平社の活動の歴史を子どもたちに確かに伝え、継承していってもらいたい。」


【解決策】
床面カーペットの張り分けは、水の一滴が波紋を広げる空間イメージで、奈良県御所市柏原から始まった水平社運動が全国に拡大していったことを示す展示のレトリック的なデザインです。
プロローグ展示はさまざまな人種が現れ多様性を感じさせる導入部映像で、そこから水平社を想起させる水平線がそのまま映像からグラフィックへと延びる演出となっています。子どもが興味をもてるように注目しやすく吹き出しをつけたり、漫画・絵本の展示やアニメによる解説をおこなっています。また情報更新を劇的に容易にした情報ライン、遊び感覚で学べる「なぜどこクイズ」を取り入れました。
最後は人権について人類の知恵ともいうべき言葉を集積したエピローグ展示で締めくくります。
これらを全体に散りばめ、課題の解決を図りました。


【お客様の声】
1998年の開館以来、特別展等も含めて展示制作をご担当していただき、常に行き届いたサポートをいただいてきました。そのためリニューアルのコンセプト共有などもスムーズに進みました。
人権という伝えることが少し難しいと感じられるテーマにあっても、そうして蓄積された知識や実績を存分に発揮していただき、幅広い視野で的確な助言をいただくとともに、来館者に伝えたい博物館の想いを余すところなく形にしていただきました。
御社にご担当していただき、展示内容が飛躍的に充実したと感じています。


<当社プロジェクトメンバー>
【営業・プロジェクトマネジメント】山瀬 浩子、栗田 徹也
【プランニング】神 剛司・中野 史洋、末田 ゆか
【デザイン】水野 考基
【制作・施工】木村 芳和、長谷川 聡子/ CIC:大石 優 


オープン:
2022年
所在地:
奈良県
クライアント:
公益財団法人 奈良人権文化財団 水平社博物館様
業務内容:
デザイン・設計、サイン・グラフィックデザイン、什器制作、環境演出装置設計・制作、コンテンツ設計・制作、制作・展示施工、制作・内装施工

水平社創立100周年記念事業 水平社博物館展示リニューアルの空間プロデュース