建築設計からインテリアデザイン、外構デザインまで住宅1棟丸ごとの設計・デザインを行いました。敷地は目の前に日本海を望む土地で一帯には複雑に入り組んだリアス海岸が広がり、「洞門」と呼ばれるダイナミックな地形の景勝地として知られています。一方、周辺に目を向けてみると迷路のように入り組んだ路地が独特の街並みをつくり出しています。これは、北風が吹き抜けるのを防ぐために交差部がクランクした枡形構成というこの地域ならではの特色です。その特有の路地構成を1階平面に採り入れることで建築ボリュームを分節し周辺環境との調和を図っています。外観やエントランスホールはリアス海岸をモチーフとした地形のような構成となっており、南側からセットバックすることで街並みとの連続性を確保しています。一方、北側のファサードは周囲より1段立ち上げ、立体的な桝形構成のような形状とすることで北風が街へ吹き抜けるのを防ぐことを意図しています。外部仕上に関しては、下部が岩肌で上部に木が生い茂るリアス海岸の外観的特徴を建築にも呼応させるべく、下層には洗い出しによって骨材をあらわにした岩のようなコンクリートを、上層には杉板型枠による木目調のコンクリートを採用しました。表面に現れてくる骨材も杉板型枠材も共に地域で採取できる材料を利用しており、その土地ならではの素材による表情が、立地固有の情景を未来に紡いでいくことを期待しました。加えて、この2段構成は、内部空間の仕上げにも適用することで建築との統一感をつくり出し、内外の一体感の醸成にも貢献しています。
建築設計を進めるに当たり、旅館のようなものをつくりたいというご要望がありました。それを受けて、「旅館の本質とは、その土地の魅力を味わい尽くすものである」という解釈の元、周辺環境のコンテクストや文化を反映し、雄大な自然を感じることができる建築を目指すことにしました。敷地は、日本海を望む好立地ではありましたが、海岸との間に公道を2本挟む形であったため、プライバシーを確保しながら、いかにして雄大な景観を取り入れることができるかが求められました。
国土地理院の基盤地図情報の標高座標データより、敷地から望む砂浜や雄大なリアス海岸などを含む、およそ4km四方にわたる広域な地形データを正確な3Dモデルとして作成しました。これを活用したBIMでの建築設計によって、建築内部からどのように景色が見えるかを一人称視点で正確にシミュレーションすることが可能となりました。公道や隣家などの周辺環境からの視線を遮りながら、建築内部から見える景色を開口部によってどのように切り取るか。その最適化を図りながら開口部設計を行うことで、そこから見える景色もインテリアの一部と感じられるような周辺自然環境との一体感をつくり出すことを実現しています。
- オープン
2024
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調査、企画・基本構想、デザイン・設計、建築設計、設計監理、什器制作、家具装飾品コーディネート、外構デザイン
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