百年留学生記念館

百年留学生記念館は、20世紀初頭に日本を訪れ、新たな知識と技術を求めて学んだアジア人留学生の若者たちの物語を、未来へとつなぐ文化交流施設です。
展覧会の開催をはじめ、異なる文化や価値観が交差し、人々が対話を重ねながら相互理解を深める場となることを目指して開館しました。
当社は、百年留学生記念館の企画・基本構想をはじめ、デザイン・設計、制作・内装施工を担当。また開館を記念した特別展「青年周恩来の東京足跡展」における展示設計・施工も担当しました。

20世紀初頭、日本の文化と産業が大きく開花した時代に、多くのアジア人留学生が学びを求めて東京を訪れました。帰国後、自国の発展を担う偉人となった例も数多くありますが、異国の地ゆえにさまざまな悩みを抱えながら学生生活を送っていた留学生も多く存在しました。
彼らがどのような志を抱きながら日本の学問や文化に触れ、どんな苦悩に立ち向かいながら自己を追求していったのか。その歴史を振り返りながら、異文化理解と挑戦の大切さを学ぶことができる空間体験と、日本とアジアの懸け橋となる文化交流拠点として、若い世代が未来を切り拓くためのインスピレーションを得られる場の実現が求められました。

後世に名を遺す偉人であったとしても、現代を生きるわれわれと同じく「悩み」を抱えていたことに焦点を当て、グラフィック、映像をはじめ、当時の生活を表現した四畳半の部屋や、実際に対話ができるインタラクティブコンテンツなど、さまざまなアプローチから当時の留学生の悩みを知ることができる空間体験を構築しました。

また特別展では、周恩来氏が留学生時代に書き留めていた日記にフォーカスを当てた展示を構成しました。来館者が日記の中に入り込むような体験を演出するために、本のモチーフをデザインに取り入れたり、実際の日記から着想を得た象徴的なオブジェを制作しています。