福岡県北西部に位置する鞍手町(くらてまち)はかつて九州・筑豊炭田の一角を担うことで発展していきました。本施設は鞍手町の炭鉱の歴史を「体験」を通じて学ぶことができる博物館です。展示構成は、導入部の「年表」、暗闇を用いて演出した「坑道再現」、採炭現場の「ジオラマ再現」、そして当時の労働者や記録者による談話を撮影・編集した「語り部」と、大きく4つのゾーンに分かれています。260㎡という限られた展示面積を最大限生かしながら、各ゾーンに特徴を持たせることで、来館者にさまざまなアプローチで訴えかけ、興味を持ってもらえるよう設計しました。
実際の坑道の様子が体験できるように、暗闇の中を当時の作業員が使用していたライト付きヘルメット(通称:キャップランプ)や懐中電灯を持ちながら巡る体験型の展示の実現が求められました。
暗闇の中ではグラフィックの文字や写真が視認しづらく、ボタンなどの物理操作も困難なことが大きな課題でした。そこで、入場時に来館者へ渡されるキャップランプ/懐中電灯に着目し、光を当てることで反応し映像や音声による解説が流れる新たなスイッチを開発することで、「暗闇」という臨場感を体験しながらも坑道にまつわる情報もきちんと得られるようにしました。また壁面には光を当てることで蓄光し浮かび上がる文字などをあしらい、来館者が自らライトを駆使して情報を探すことで「ワクワク感」を創出し、本施設ならではの体験型展示を実現しました。
展示室内に再現した坑道は、その暗がりや坑道を下る傾斜など、見学者にとって炭鉱を体感できる空間として、高い評価を受けています。また実物大に再現した石炭を掘る採炭現場は、分かりやすいと好評です。なお当館展示室内の見学に欠かせない懐中電灯やキャップランプの光を使って観る展示は、他の施設では経験できない見学の仕方として注目されています。
- オープン
2025
- 所在地
福岡県
- クライアント
鞍手町様
- ソリューション
企画・基本構想、デザイン・設計、サイン・グラフィックデザイン、什器制作、コンテンツ設計・制作、制作・展示施工、制作・内装施工
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