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好きに触れられる──乃村工藝社で大好きな日本伝統文化を発信する喜び

プランナーとして空間の企画・調査・コンサルティングなどに携わる市川 愛。オウンドメディア“ノムログ”の副編集長も務めるなどマルチに活躍しています。案件を主導することにはこだわらず、誰かの何かの役に立つことに意義を感じると話す市川が、働く醍醐味と育休を経て至った境地を語ります。

 

プランナーとメディアの副編集長、広報部を兼務 。デザイン思考であらゆる課題を解決に導く

プランナーを本職とする市川。入社以来、主に集客施設のプランニングに携わってきました。

市川 「施設デザインの前段階において、どんな空間づくりを目指すかを考え、お客さまやプロジェクトメンバーに提案するのがプランナーの役割。比較的大型の案件や新しい試みに関わることが多く、まだ詳細が決まっていない段階から参加し、そもそも何を作るのかを含めてお客さまと一緒にじっくり考えていくのが仕事です」

駅ビルをはじめとする大型ショッピングセンターや大型オフィスビルに併設される複合商業施設、子ども向け体験施設など、これまで実にさまざまな案件に関わってきた市川。いろいろな仕事に挑戦させてくれる風潮が社内にはあると言います。

市川 「たとえば、売上分析に長けた人や博物館に特化する専門家も社内にはいるのですが、適性を見極めるためもあって、とくに若い社員には幅広い仕事にチャレンジできる環境があると感じます。私の例で言えば、いけばなのスキルを活かして大きな神社で開催するいけばな展など、イベントの企画を担当したことも。日本文化の発信や英語が得意なので、中国や台湾といった海外の案件のお手伝いをしたこともありました」

これまで約10年のキャリアを積んできた市川。プランナーとして大切にしていることがあります。

市川 「お客さまに何を求められているのか、何が必要なのかを考え、お客さまのニーズに合わせることを一番大切にしています。いけばなとプランニングの仕事って実は似ているんです。見た人に喜んでもらうためにはどう生けたらいいかを考えるいけばなと一緒で、その施設に来る人がどうすれば喜んでくれるか、何がそこにあれば心を動かせるかを考え抜いて、そのために必要な材料を集めた上で、不要なものは整理していくことで、カタチにしていきます。

お客さまとのコミュニケーションを密に取ることも心がけています。お客さまと会話をしているうちに、アイデアが固まってきて最終的な形が見えてくるところも、植物と対話しながらカタチを作っていく、いけばなと似ていますね。お客さまが潜在的に抱えている課題を掘り下げ、作るべきものへと正確に落とし込んでいくことがプランナーの役目だと思っています」

プロジェクトでは、営業が中心となり、デザイン、制作の担当者と共にチームを組むのが一般的ですが、プランナーにもクリエイティブな素養が求められる場面が少なくありません。興味の幅を広げることを常に意識していると市川は言います。

市川 「私の入社時と比べ、プランニングにもデザイン思考が一層求められるようになってきていると感じます。社内的にもクリエイティブな要素を推していきたいという風潮があり、この流れはますます強まっていくと思っています。

アンテナを張り巡らせながら、情報に敏感であることは学生のころから意識していました。本などを読むのはもちろんですが、可能な限り街に出て、食わず嫌いせずいろいろな情報を収集するように心がけています」

プランナーの仕事と並行して、オウンドメディア“ノムログ”の編集に携わってきた市川。2022年からは副編集長を務めています。

市川 「“ノムログ”には2019年の立ち上げ時から関わっています。2022年の10月にリニューアルを実施してロゴを刷新し、ユーザビリティを大幅に向上させました。

サイトリニューアルに際して、編集部が大切にした想いは多様な“つながり”です。ノムログはオンライン上のメディアではありますが、私たちは常にリアルな空間を創造しています。ノムログを通じて空間や体験に触れるきっかけとなり、読者の皆さんと小さくてもつながりを持つことができたら、と考えました。ロゴもそこから発想し、nom(乃村工藝社グループの)とlog(ログ=記録)がそれぞれ連なるデザインとなっています。ロゴのシールもつくったのでみんなでPCや携帯に貼っていて、お客さまとの打ち合わせ時に会話の糸口にもなっています。サイトリニューアルに込めた想いもノムログのこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでもらえると嬉しいです。


編集部員は、記事の企画だしから、執筆依頼・編集・リリースまで一気通貫で担当します。私は取材したり文章を書いたりすることが好きなので、いけばなに関することや、歌舞伎の展覧会レポートなど、自分で記事を書くこともあります。

たとえば、『乃村工藝社にこんな人がいるのなら、この仕事を頼んでみたい』となるきっかけを、メディアが提供できればという想いがあるんです。実際、『このプランナー、こんなことに興味があるんだ』となって声がかかったケースもあって。社内外のコミュニケーションツールのようになっていけばいいと思っているので、今後はさらに書きたい人が書けるような仕組みづくりをしていく予定です」

 

18歳でいけばなの師範に。“好き”を仕事にできる風土の中でスキルを遺憾なく発揮

▲いけばなの師範として花を生ける市川

これまでプランナーとしてだけでなく、いけばな師範としてのスキルも仕事の上で発揮してきた市川。いけばなと出会ったのは中学生のときでした。

市川 「進学予定だった中学の華道部の作品展示を見て、『私もつくってみたい』と思ったと同時に、12歳にしてお茶やお花を学んでおけば玉の輿に乗れるんじゃないか、みたいな気持ちもありました(笑)。

もともと手を使って何かをつくることが好きだったこともあり、部活動をやりながら資格が取得できるところに惹かれ、いけばなを始めました」

18歳で師範資格を取得した市川。いけばなを学ぶ過程で空間づくりに関心をもつようになり、何かをつくる仕事に就きたいと考えるようになったと言います。

市川 「就職活動では、企画に携われる、何かを作ることができる仕事かどうかを軸にしていました。広告代理店や、おもちゃ会社なども考えましたが、入社後に配属先が決まるところが多い中、乃村工藝社だけはプランニング職での採用だったんです。

入社の決め手となったのは、相性の良さを感じたこと。面接の際、担当者の方と非常に話が盛り上がったんです。5人くらいのベテランプランニング職の面接官から同時に質問されたのですが、不思議とうまく返すことができて。拍子が合ったというか、うまくやっていけそうだと感じたのを覚えています」

また、芝居の大道具方をルーツとする会社創業の経緯にも、大いに共感したという市川。背景には日本の伝統文化への関心がありました。

市川 「中学のときに母に連れて行ってもらった歌舞伎を見て、直観的にかっこいいって思ったんです。学園祭では、大好きな歌舞伎をテーマにした展示をしたこともありました。今になって思えば、それがこの仕事の原点だったのかもしれません」

日本文化体験に関する需要を調査する業務では、いつもより余計に気持ちが入ったと振り返る市川。乃村工藝社にはそうやって個人の興味関心を拾い上げる、「好きに触れられる」カルチャーがあるといいます。

市川 「たとえば、こんなことがありました。ウイスキーが好きだという社員が“ノムログ”でウイスキーの記事を書いたところ、『そういえばあの彼はウイスキーに詳しかったよね』となり、ウイスキー関係の仕事に参加することに。その記事を読んだお客さまからも『ウイスキーが好きな人が来てくれてうれしい』と歓迎されて、うまく仕事が進んだそうです。

また、プランニングの部署では社員の得意領域を一覧できるリストを社内用に作成しています。“好き”を拾い上げる仕組みができつつあるのを感じています」
 

 

複合温泉施設プロジェクトの成功を経て産休・育休を取得。大きく変わった仕事観

▲家でも子どもと一緒に花を生ける。穏やかなひととき

これまでエンタメや観光、商業施設を中心にさまざまな企画を手がけてきた市川。中でもとくに印象に残っているのが、複合温泉施設である「西武秩父駅前温泉 祭の湯」の開発です。

市川 「お客さまから、駅に隣接する施設をつくりたいと相談があり、プロジェクトの最初の段階から参加しました。プランナーは企画が固まると少しずつ案件から離れていくケースも多いのですが、このときは商品の企画やロゴのデザインなど細かいところまで関わり、開業日に商品が店頭に並ぶところまで見届けることができました」

同プロジェクトでは、期せずして日本文化に触れることに。興味を持って取り組み、大いに本領を発揮できたと言います。

市川 「“祭り”がテーマに決まったので、企画の段階で秩父エリアのお祭について徹底的にリサーチし要素をピックアップ。お客さまと相談しながら、共通認識を深めていきました。

また、売場づくりでは、いけばなの技術が役立ったと思っています。商品をどう配置すれば魅力的にプレゼンテーションすることができるかを、売場づくりのスペシャリストであるビジュアルマーチャンダイザー(以下、VMD)の方と一緒に考えたのですが、空間を活かすノウハウの部分にいけばなとの共通点があって。VMDの方からも『いけばなをやっていると、こだわりがあるね!』と言ってもらいました」

大型商業施設は、企画から開業まで4、5年かかるのが一般的。カタチになるまでに時間がかかっただけに、開業時には大きな達成感を味わったと言います。

市川 「施設はたいへんな賑わいで、お客さまや施設運営の方たちがとても生き生きとしているように見えました。なかなかカタチにならないからこそ、カタチになった現場を見て、『いい施設ができたね』と声をかけてもらったことで、たしかなやりがいを感じたのを覚えています」

その後、2019年9月から翌年の10月まで約1年の産休・育休を取得した市川。このことがきっかけで、仕事への向き合い方が大きく変わったと話します。

市川 「2012年に新卒入社して、2018~2019年ぐらいにようやく先輩プランナーの補佐ではなく、自らが中心になって、プロジェクトを動かせるスキルがついてきたと感じ始めていました。ところが、2019年に出産し産休育休をとったことで、約1年のブランクができてしまいました。

復帰後は育児との兼ね合いで、リーディングプレーヤーとして全力を尽くすことの難しさに悩んでいましたが、どうしても自分が中心である必要がないと思えるようになったんです。どんなカタチであれ、チームの役に立ちたいと。

プロジェクトメンバーのみんなが、無理なく和やかに仕事を進められることに価値があると感じるようになりました」

 

“ソーシャルグッド”の取り組みの一環として、日本の伝統的な文化の発信をこれからも

▲「LOQUAT Villa SUGURO」の一室に市川が生けたお花。上質な雰囲気を演出している

今後も日本文化を発信する仕事に関わり続けていきたいと話す市川。次のように続けます。

市川 「乃村工藝社では、社会に幸せなインパクトをもたらし社会課題の解決に貢献する“ソーシャルグッド”の取り組みを全社的に進めています。日本の伝統的な文化をはじめ古くからある良いものを空間デザインの中に取り入れ、継承していくことは、まさにそうした枠組みの中に位置付けられるものだと思っていて。身近にあるお花をきっかけに、興味を持ってもらえると嬉しいなっていうのはあります。いけばなや歌舞伎に限らず、いろいろなテーマで積極的に提案していければいいですね。

2022年7月に開業した、古民家を活用した宿泊施設 別邸「LOQUAT Villa SUGURO」はまさにその好例。伊豆市土肥エリアのさらなる活性化を目指した“街全体リゾート化構想”のフラッグシップモデルで、広々とした古民家を贅沢にリノベーションし、美しい佇まいに仕上げています。私は開業祝いに古民家の空間デザインを壊さず引き立てるよう、空間とコラボレーションしたお花を生けました。デザイナーに聞いた空間デザインのポイントと合わせてノムログで記事化していますので、ぜひ多くの方に読んでもらえると嬉しいです」

乃村工藝社には人とコミュニケーションを取るのが好きな人が多いという市川。当社に向いている人材についてこう話します。

市川 「プランニングだけじゃなくて、デザイナーや営業などチームで仕事を進めていくので、人とやりとりするのが苦手じゃないことが大事なポイントかもしれません。知識やスキルがどうこうより、誰かと対話しながらものごとを進めていくことを楽しめる人であれば、居心地の良さを感じられると思います」

自身の強みを活かして、いろいろな仕事に挑戦できる環境が乃村工藝社にはあります。
いけばなのスキルを活かしつつ、日本文化を取り入れ新たな可能性に挑戦した提案を得意とする市川の、これからの活躍から目が離せません。

 

 

市川 愛(いちかわ あい)
 

12 歳で草月流いけばなを始め、18 歳で師範資格取得。 2012年乃村工藝社入社以来、エンタメ・観光・商業施設等の開発に携わる。趣味の歌舞伎鑑賞といけばなを活かした、日本文化を取り入れ新たな可能性に挑戦した提案が得意。

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