約400年前、豊臣秀吉が築いた初代大坂城は大坂夏の陣で落城し、徳川幕府により大量の盛り土で地中に埋められてしまいました。本プロジェクトは、400年の時を経て、豊臣期の石垣を地中から掘り起こして整備し、一般公開を行うものです。地下空間に降りて遺構公開を行う全国的にも類を見ない施設において、徳川幕府が再築した石垣とは異なる豊臣期石垣ならではの価値を伝える展示づくりに取り組みました。豊臣期の石垣と解明するまでの過程や、石垣の特徴、石垣が辿った激動の歴史を追体験できる展示ストーリーと演出を組み立て、さらに地上から地下へ、そしてまた地上へと上下する遺跡見学のプロセスと重ね合わせることで、より特別感のある展示空間としました。また、石垣そのものの見せ方を大切にしながら、映像・照明・音響を連動させた一体的な演出で、遺構本来の魅力を伝えています。
閑静な住宅街の一角にあり、近隣に住む子どもたちが集う中野区立江古田図書館児童コーナーのデザイン設計・内装改修・什器制作を担当したプロジェクトです。1階では、老朽化した内装材を新調し、大型本や紙芝居などが配架できる児童コーナーならではの本棚を制作しました。また、保護者が楽しめるような雑誌エリアも設け、親子一緒に過ごせる空間づくりを行いました。東京都指定無形民俗文化財である「江古田獅子舞」をモチーフとした図書館オリジナルキャラクター「ししまる」と「えごたん」が出迎えるこの空間で、図書館は楽しいところだという印象を子どもたちに抱いてもらうことを目指しました。2階では、カウンターとイスを新設しました。カウンターの一部にアクリル材を使用したことで、太陽の光の暖かさをほのかに感じつつ、静かに読書ができるスペースとなっています。
近代日本を代表する歌人の一人である石川啄木の顕彰と資料保存などを目的として1970年に開館した石川啄木記念館が、玉山歴史民俗資料館を増設しながら2025年にリニューアルオープンしました。啄木の残した「ふるさと」という言葉をコンセプトで2館をつなぎ、啄木記念館では啄木の生きた明治期、歴史民俗資料館では昭和30年代頃を中心としながら、現代の玉山の姿も併せて見ることができる構成としています。石川啄木記念館では空間全体を使い、啄木の生きた26年の人生と、没後から現代までの人々の顕彰活動を巨大な年表として表現しています。年表の下には、その年代ごとの収蔵品、その当時の啄木のことばなどを見ることができます。中央のシンボル展示では、啄木が実際に弾いたオルガンが展示され、その背景の大きなスクリーンでは「啄木の人生」「啄木とふるさと」の2編のオリジナルアニメーションを選択し見ることができます。また、企画展示室や蔵書閲覧コーナーなども設置されています。玉山歴史民俗資料館では、地域の方々から寄贈された民俗資料展示のほか、民俗芸能や自然の姿なども映像や情報検索システムを使って保存され、見ることができます。2館をつなぐ廊下部分では講演会やワークショップが行える多目的ホール、ミニ企画展示などが行える棚展示「つながるたまやま」、収蔵庫の一部をガラス張りにした「見せる収蔵庫」などが配置されています。その窓からは、啄木がかつて暮らした齋藤家住宅、渋民尋常小学校を眺めることができます。
1888年に建てられた北海道庁旧本庁舎は「赤れんが庁舎」という愛称で知られる、北海道を代表する重要文化財です。2019年から耐震補強および保存改修工事のため一時的に閉鎖することになりました。その閉鎖期間中に、「今だけここだけ」をテーマに改修工事中にしか見ることのできない仮設見学施設を計画しました。
日本三稲荷の一つである竹駒神社様が地域コミュニティとにぎわい創出のために取り組んだプロジェクトです。当社がハブとしての役割を担い、神社、地域、企業が三位一体となったチームを形成しました。チームで取り組んだことは大きく分けて、「鎮守の杜の整備」「カフェ設置」「地域コミュニティ活性化」「プロモーション」「新しい祭をつくる」の5つです。当社は企画・ロゴデザイン・建築設計・造園デザイン・建設・外構工事・カフェ開業支援・カフェメニュー開発・商品開発・映像制作・広報PRなど全般におよぶ総合プロデュースを行いました。竹駒神社様が市民の生活に欠かせない存在として持続可能なかたちで未来へ紡いでいくことを目指しました。〇総合プロデュース内容①顧客課題抽出 ②課題解決方法立案 ③実施(運営)体制の検討 ④実施(運営)体制の構築(リーシング) ⑤神社・運営者の意見をふまえたデザイン ⑥商品開発(飲食メニュー、販売商品選定) ⑦神社全体の活性化検討 ⑧神社全体のプロモーション映像作成 ⑨CAFÉプロモーション検討 ⑩オープニングセレモニー計画 ⑪各種メディア誘致 ⑫オープン後のPDCA実施 ⑬新しい祭をつくる ⑭世界プロモーション映像を海外へ当社のネットワーク(地元企業中心に)から賛同者を募ることで、独立して可動できる体制を構築しました。
宅地開発から50年が経過し、人口減少と少子高齢化が進む河内長野市日東町・大師町の地域の足として、暫定運行を開始している地域住民主体の移動支援公共モビリティが「クルクル」です。地域の移動を支える交通の運行を地域住民主体で運用するために、参加型のアートワークショップを実施しました。地元中学校美術部員および地域住民の方々と共に、アートを通して社会課題を再認識し、まちの魅力の再発見と、共創による地域住民のまちづくり参画意識の醸成を目指して、「観ル・知ル・創ル」の計10回のアートワークショップを実施しました。
「こち亀記念館」は、漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』を題材とした葛飾区様の亀有地域観光拠点施設です。当社は施設コンセプトから、展示・コンテンツの企画・設計・施工を担当しました。さらに、亀有駅周辺の回遊施策の企画・設計・施工や施設の開館に向けたプロモーション施策の企画など、施設にとどまらない業務範囲を、IPコンテンツ※を熟知した専門チーム・CIC(Content Integration Center)と、地方自治体の観光拠点施設やまちづくりのノウハウを持つ公共事業の施設チームの2チームが、互いの強みを活かして作り上げました。「主人公が勝手に施設を作り上げ、挙句の果て亀有の街に逃げ出した!」というコンセプトの下、漫画のコマが積み重なったような建築、名場面が飛び出した内装、作品の世界観が滲み出た空間デザインで、主人公たちの実存感をつくり出し、来場者が没入できる空間体験を実現しています。訪れた人は逃げ出した主人公を追うように、入口から出口まで一貫した空間ストーリーを体験することで、施設の中で完結せず、同館を起点に街を回遊したくなる仕掛けづくりに取り組みました。これにより、葛飾区および亀有地域の商店街振興・地域活性化にも寄与しています。※知的財産権(Intellectual Property Rights)により保護されるコンテンツ全般を指します。たとえば、ゲーム、映画、アニメーション、マンガ、小説、音楽、キャラクターなどが、IPコンテンツに該当します。
北海道の豪雪をかき分け、物流・人流をもたらした電気機関車「ED76形509号」の偉業を伝える展示施設です。北海道の国鉄電化の黎明期に活躍した電気機関車ED76形は、車両の部品に環境への影響が懸念されるポリ塩化ビフェニル(PCB)が使用されていたことから、撤去・処分作業のため、車両を解体せざるを得ませんでした。解体が計画される中で、貴重な文化遺産を後世に残すため、頭部の部分保存ならびに、展示施設の制作に至りました。全国の鉄道系博物館でも同様の頭部展示は行われていますが、本施設では失われた胴体部分を屋外仕様のグラフィックパネルで原寸再現することで、頭部だけでは伝わり切らない車両の「力強さ」を来館者に体感してもらうことを狙っています。ED76形の形、色、大きさをもって、車両が北海道にもたらした偉業と価値を来館者に伝えます。
兵庫県豊岡市にある城崎マリンワールドの魚類展示エリア「SeaZoo」が30周年を迎え、2024年7月25日にリニューアルオープンしました。「SeaZoo」に新しく完成した展示「CUBE」のコンセプトは「もっと、会話のある水族館へ」です。生きものや飼育員との会話、20個のキューブ型水槽、イラストやグラフィックボードを通して、共に学びあい、好奇心や新しい発見、自由な発想を促す新たな展示スタイルを目指しています。
白糠町では、先住民であるアイヌの人たちの精神と文化を次代へ伝えるため、町全体が「イオル(伝統的生活空間)」と考えのもと、まちづくりを推進しており、この度、町に伝わるアイヌ文化を紹介する白糠アイヌミュージアム「ポコㇿ」を開設しました。施設名称の「ポコㇿ」には、白糠のアイヌの人々の“生まれ育った場所を大切にしたい”という想いが込められており、その想いをアイヌの暮らしを表現した精巧なジオラマや、隅々までリアルに再現したチセ(アイヌの住居)、伝統的な工芸品と美しい衣装、そして館内全体を包み込む“イオル(伝統的生活空間)”のサウンド・スケープで表現しています。生き生きと映し出される豊かなアイヌの暮らしを五感で感じ、厳しくも雄大な自然と生きてきたアイヌ文化に触れることで、より理解を深めることができる施設です。
あいち創業館は、愛知県が整備したスタートアップ支援拠点・STATION Aiの2階に新設されました。昔から愛知県では数多くの企業家たちが活躍し、産業を発展させてきましたが、彼らにはどのような出会いや発想があったのか、どのように逆境を乗り越え、イノベーションを起こしてきたのかを解き明かすべく、企業家たちの信念、挑戦する心、ビジョンとの出会いを通じて、これから起業する方々や次世代の子どもたちにとって未来へのヒントにつながり、創造力を刺激する時代を越えた「!」な出会いを提供する展示を目指しました。館内は4つのゾーンに分かれており、あいちの産業のルーツから、あいちにゆかりのある多くの企業家たちの挑戦などについて幅広く紹介し、映像やAIなどデジタル技術を駆使した体験型展示にすることで、子どもから大人まで誰もが感覚的かつ心に響くような学びの体験を提供しています。また、デジタル展示に加え、本施設のコンテンツと連動するよう選書されたライブラリーも設えました。それら、デジタルとアナログとが融合したさまざまな展示コンテンツを、時空を越え未来へと導くことを意図しながら、あいちを創造した3つのエレメントである木、水、土を空間構成要素に取り入れ、しなやかな流線型の空間デザインを実現しました。
京都府立植物園は、1924年に日本初の公立植物園として開園し、2024年1月1日に開園100周年を迎え、開園100周年を機に、園内に新たに、どんぐりの森「Dongreen Lab(どんぐりーんらぼ)」エリアを整備しました。整備場所は、ドングリの実がなるコナラやクヌギなど世界各地から10種類を超えるどんぐりの木を集めた園中央部の面積3千平方メートルの一帯です。子どもたちが実際にどんぐりを手に取り、形や匂いを感じる仕掛けとして、クマをかたどった「どんぐりポスト」や、どんぐりの多様性を感じることができる「見どころキャプション」を設置することで、さまざまな種類のドングリに触れながら生態系を学ぶことができるようにしています。また、集められたどんぐりは園内のワークショップや、京都市動物園のクマへのプレゼントなどで活用される予定となっています。
札幌における交通の歴史を伝えるミュージアムです。馬車鉄道、路面電車、バス、地下鉄と社会の変化に合わせて多様に変化してきた札幌の交通の歩みを一気通貫して「学び、体験し、楽しむ」施設を目指しました。大正時代から札幌の街で活躍した路面電車、木製22号車に乗車する展示を中心に、実物資料を観察する展示、札幌の交通を音で聞く展示、地下鉄模型を動かしてみる展示、職員さんになりきってみる展示と、さまざまな感覚を刺激する展示・情報デザインにより、来館者の記憶に残る体験を設計・施工しました。当社の北海道支店と、ミュージアムを専門領域とする本社プランナーで推進体制を構築し、地の利を生かしたお客さまとの迅速な業務推進と、公共交通機関のミュージアムとしてふさわしい情報解説・体験の設計を両立しました。
1973年に建設された「奥只見電力館」は、尾瀬を源流とする「奥只見ダム(電源開発様)」のPR施設です。ダムを見下ろす高台に位置し、奥只見湖・尾瀬散策に訪れる観光客や小学生の団体見学をメインターゲットとしています。2023年に開館50周年を迎えることから、デジタル技術を駆使した電力館としてリニューアルオープンしました。奥只見の四季やダム・発電所建設の歴史を知るコーナー、大型スクリーンで建設時のデジタルリマスター映像やドローンの迫力映像で今と昔を体感できるコーナーなど、奥只見ダムや水力発電の仕組み、エネルギーについてより分かりやすく学ぶことができる展示内容となっています。また、魚沼市ふれあいコーナーや、日本アカデミー賞受賞映画「ホワイトアウト」に使用された資料の展示、立ち入り禁止のため「幻のダム」と称される大鳥ダムのトリックアートコーナーで臨場感のある写真撮影なども楽しむことができます。
「ひろしまゲートパーク」は、広島都心部に位置する旧広島市民球場跡地をパークPFIにより再整備した、広島の新しい顔となる市民公園です。大規模イベントも開催可能な約6,500㎡の広場を囲むように、8棟の商業施設を点在させ、園内の回遊を促すと共に、イベントや店舗のにぎわいに一体感をもたらしています。加えて、イベントを中心にさまざまな活動や交流が生まれ、屋外で過ごす新たなライフスタイルを育む拠点となることを目指しました。当社は、公募提案書作成段階から参画し、全体構想、敷地利用計画、配棟計画、MD計画、リーシング、インテリアデザイン、サイングラフィック、テナント設計施工、内装監理、ブランディング、ネーミング、ロゴ作成、コミュニケーション戦略などを担当しました。
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