次のリーダーが育たないのはなぜ? 「仕事の全体像」を渡す育成のコツ

地域活性化プロジェクトなどに携わっております、左近です。
地域それぞれの事情によって、地域活性化プロジェクトに必要な内容は大きく異なるもの。
若手が多様な経験を積むのにも良い現場だと思います。
ですが、優秀な若手がいても、「次を任せられる」と思えるまでには時間がかかります。
日々の仕事は任せられても、プロジェクト全体の責任者となると、話は少し違います。
「次をどう育てるか」に悩む方は多いのではないでしょうか。
若手が「それしかできない」にならないために
私自身、若手がプロジェクトの一部分だけを担う状況について、以前から社内でも問題提起してきました。
乃村工藝社の営業の仕事には、販促、見積もり、設計、施工会社との調整・発注、現場対応、運営支援など、いくつものフェーズがあります。大型プロジェクトほど役割は分かれやすく、若手がその一部分だけを担当することも増えます。
すると、担当業務はできても、「全体の中でなぜこの仕事をするのか」が見えないまま進めることになりかねません。
いわば「歯車の一部」です。逆に全体が見えていれば、自分の仕事がどこにつながるかがわかり、顧客が求めることにピントを合わせて判断しやすくなります。
育てる、育つ、そのプロセス
判断力を育てるために、私がまず大切だと思うのは「経験」です。
ただし、長く働くことや、同じ作業を繰り返すことではありません。
現場に行く。顧客と話す。作業する。そして、その一つひとつで考え抜く。
そうした経験を短いサイクルで積み重ねることで、仕事の質が高まり、全体を俯瞰する力もついてきます。
実際、やり方に一つの答えが決まりきっている、というプロジェクトに出会うことはあまりありません。だからこそ、最初から「経験則による正解」を若手にただ渡すのではなく、自分で考え、ときには遠回りする経験も必要だと思っています。
上司によって仕事の進め方や考え方が違うのは、ある意味では自然なことです。経験してきた仕事も、向き合ってきた顧客も違えば、もちろん判断の仕方も違ってきます。
若手からすると「みんな違うことを言う。では、何が正解なのか」と戸惑うこともあるでしょう。
でも、そこでたったひとつの正解を探すのではなく、いろいろな人の考え方に触れてほしいと思っています。
「この人のこの考え方は納得できる」「前は疑問に思ったけれど、実際にやってみるとその通りだった」と、自分の経験と照らし合わせながら、良いところを取り入れていく。
そうやって少しずつ、自分なりの仕事のスタイルをつくっていけばいい。私自身もそうやって学んできました。
考えてほしいのは「自分ならどうするか」
仕事の全体像を知ってもらうには、上長と一緒にプロジェクトの1から10までを見てもらうのがわかりやすい方法です。
各フェーズを並走し、リーダーやマネージャーが何を見て判断しているのかを間近で知ってもらいます。
ただ、いわゆる「鞄持ち」としてついて回るだけでは意味がありません。顧客との会話では「君だったらどう答える?」と問いかけたり、「顧客の事業ここを成功させるなら、どう動く?」と考えてもらうこともあります。
そして本人の考えを聞いたうえで、「自分ならこうする」と、経験から来る自分流の考えを返します。正解・不正解ではなく、こうした判断のキャッチボールを重ねることで、自分で考える癖をつけてもらいます。
実は乃村工藝社でも、このようなことを実践するべく、育成の取り組みを進めています。プロジェクトの一部分だけではなく、意識して多くのプロセスの現場に入れるようにしています。
次が育たないときに見直したいこと
次が育たないと感じたとき、若手の資質だけでなく、私たちが「どんな経験を渡しているか」も振り返る必要があります。
プロジェクト全体を見る機会があるか。「自分ならどうするか」と考え、判断する機会があるか。
そうした対話を重ねる中で、「共通言語で話せる」「目線が同じ」と感じられる、次を任せたい人も見えてくるのだと思います。