空間創造によって
人々に「歓びと感動」を届ける

乃村工藝社

「なぜ?」から始める「伝え方」

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空間づくりを通じて、特にコミュニケーション領域でお客さまが「新しいこと」を始めるお手伝いをしております、彦田です。

たとえば、新規事業の構想や、自分の仕事について説明しているとき。

自分なりに丁寧に伝えているつもりなのに、なぜか相手の反応が薄い。
「いいですね」と言われて終わってしまい、手応えが残らない。
そんな経験はないでしょうか。

営業や事業開発の現場では、「何をやるのか」「どうやるのか」を語っているはずなのに、なぜか共感や腹落ちをしてもらえない瞬間があります。
その理由がどこにあるのか。自分自身の仕事を振り返りながら考えてみました。
 

「伝わったとき」を振り返って得られた気づき

そのひとつの好例が、モータースポーツの裾野を広げることを目的とした、都市型EVカート施設のプロジェクトでした。
このプロジェクトでは、当初より事業者側のチームで「なぜこの事業をやるのか」を言葉にし、プロジェクトの起点として共有がなされている状態でした。

従来、レースは郊外で行うものという常識がありました。
その前提を見直し、都市部でも成立する形を模索しました。さらにEVの特性を活かし、都市の中で「運転する側の視点」を体験できる場をつくる。そして利用者は、その体験を通じて、交通安全への理解を広げていくこと。
それが、チームが見つけたこのプロジェクトの目指すところでした。

この考え方が先に共有されていたことで、議論も、「できるかどうか」ではなく、「どうすれば実現できるか」という前向きなものへと変わっていきました。排気ガスを出さないこと、音が静かなこと、安全性を高められることといった要素が、目的に紐づいた条件として整理されていったのです。
その結果、「だから、こういう事業・提案になるのですね」と言ってもらえる場面が多くありました。
今になって振り返ると、当時は意識していなかったものの、プロジェクトの初期段階で「なぜやるのか」という意義が共有されていたことが、ゴールデンサークル理論でいうWHYにあたっていたのだと分かります。

人の心を動かすには、伝える情報量や詳しさよりも、まず「どんな順番で伝えるか」が大切だった。

今回の経験を振り返って、そう実感しています。
私自身が大切にしているのも 、単に空間を設計するのではなく、その空間が生まれる背景や事業の意義からともに考えること。そこから始めることで、表層的なデザインではなく、本質に根ざした空間づくりが可能になります。
このお話が、もし「伝え方」に悩んだときのヒントになれば幸いです。

 

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