空間創造によって
人々に「歓びと感動」を届ける

乃村工藝社

まとめる前に、まず引き出す 「事務局力」とは

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当社で主にワークプレイスの案件を担当している北井です。
いろんな立場の人の意見をまとめようとすると、みんなそれぞれ、自分の正しさや希望を主張しがちです。
もちろん良かれと思ってなのですが、譲る余地のない希望ばかりが並ぶと、共通項が見つからなかったり、真っ向から反対の意見が出てきたりする。そうなると、合意形成というよりも、気づけば「力関係」や「声の大きさ」で方向が決まってしまう……こういったことは多いでしょう。
ただこれは、特別な職場や人だけの話じゃなく、どんな現場でも起こり得ることなのです。


「まとめられない」のは、情報が出そろっていないから

最初から意見が活発に出てくることは多くありません。
例えば、私たちが新たなワークプレイスを提案する際、「どんなオフィスにしたいですか?」と尋ねても、「働きやすく」「明るく」といった答えが中心になり、どれも正解のようで核心には届かないことがあります。
これは質問の仕方や熱意の問題ではなく、まだ考えるための材料が足りていないだけ。意見を集約できない理由の多くは、材料不足にあります。
つまり、まとめられないのではなく、まだ出そろっていないのです。


「引き出す」ための工夫

ここで鍵になるのが、「引き出す」ことです。
いきなり本題に入らず、まずは場をやわらげるための雑談から始めます。

「最近、他社ではこんな取り組みがあります」
「働き方のトレンドとしてこうした動きが見られます」

こうした話題を共有すると、参加者の中に比較の視点が生まれます。
「うちではどうだろう」「これは、取り入れるべきだろうか」
といった言葉も自然に出てくるようになるでしょう。
ワークプレイスであれば、人材や働き方といった、誰もが自分ごととして語れるテーマから始めるのが効果的です。


「何が欲しいか」より「何が好きか」を聞く

「好きな空間」「印象に残った展示」「落ち着く場所」など、好みを起点に話を広げてみましょう。好き嫌いを語るうちに、その人の価値観や考え方の特徴が自然と見えてきます。

「無機質な金属より、木の素材感がある方が落ち着く」
「オフィスにありがちな埋込型直管照明器具より、明るすぎない間接照明の方が集中できる」

感覚的な言葉の中に、組織の文化や個人のこだわりが表れてきます。
こうして、ようやくまとめるための材料が出てきます。
何をつくるかを決める前に、なぜそれを良いと思うのかを掘り下げること。
そこから本当に必要な方向性が見えてきます。


事務局力とは「引き出す力」

「意見がまとまらない」と感じるとき、実はまだ意見が出切っていないだけのことが少なくありません。
多様な意見が出そろって初めて、取捨選択や調整ができます。
むしろ情報が多いほど、共通点や優先順位が見えてくる場合もあります。

会議を「まとめる場」ではなく「引き出す場」として設計すること。
人の想いを引き出し、対話を通して合意形成の土台をつくること。
こういったことが本来の「事務局力」であり、乃村工藝社の空間づくりにも通じる姿勢です。

「どんなレイアウトがいいですか?」ではなく、「どんなときに気持ちよく働けますか?」と聞いてみる。
質問を少し変えるだけで、相手の考え方が動き始めます。
意見を急いでまとめようとせず、まずは引き出しを開けてみる。
その先に、本当に納得できる合意形成があります。

まとめることに行き詰まったときこそ、「引き出す」ことから始めてみてください。

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