会社の期待、どう立ち回るか

企業ブランディングとプロモーションを専門にしております、菅谷です。
経験のないプロジェクトを任されたとき、「何を期待されているのか」が見えない、というお話をよくお聞きします。
たとえば、「ショールームをつくる」というプロジェクトでは、目的自体は明確です。しかし、そのショールームをどのような形にすべきか、会社がそれに何を期待しているのか、といった部分までははっきりしていないこともあります。
経営層の思い、上司の方針、現場の事情。関係者が増えるほど、抱くイメージは少しずつ異なります。
そのなかで担当者は、「期待を形にしていく側」として立つことになります。しかし実際には、その期待そのものが、まだ言葉になっていないこともあるのです。
問われているのは、能力以上に、その曖昧さのなかでどう立ち回るかです。
停滞の原因は「起点の不在」
あるショールームの案件では、外部パートナーである私たちを含め、多くの関連部署が関与していました。
会議ではそれぞれが意見やアイデアを述べていましたが、方向性が定まる気配がありませんでした。
アイデアがバラバラなまま、一向にまとまらないのは実は「期待」の中身がまだ共有されておらず、関係者が同じ方向を向いていないからです。
しかし、今回のように「ショールームを作る」こと以外の期待自体がそもそも定まっていないこともあるのです。
そこで必要になるのが、関係性の再定義です。
参加者の組織や立場ではなく、同じ目的を共有するひとつのチームとして整理する。そして議論の起点をつくることで、対話のなかで「何を期待されているのか」が少しずつ具体化されていきます。
意見は「決定」ではなく「起点」
担当者は、期待がまだ具体化されていないことを踏まえ、「私はこう考えています」と自らの見解を示し、「皆さんはどう思われますか」と問いかけました。
これによって議論は具体性を帯びます。
示された見解に対する意見の違いが表に出ることで、何を優先するのか、どこが譲れないのかが見えてきます。
たとえば、ショールームの目的が「地域の中で企業ブランドを発信する拠点」なのか、「来賓を迎えるための特別な空間」なのかによって、空間の設計思想も、導線も、見せるコンテンツも大きく変わります。
前者であれば地域との接点や開かれた印象が重要になりますし、後者であれば品格や体験の質が重視されるでしょう。
こうした話し合いから、今回のプロジェクトでは新たなショールームを通して地域との接点を強化することが期待されているという結論に至りました。
このように、「何を期待され、何をもって成功とするのか」という基準が共有されてから、一気に議論は前に進みます。
論点が整理されると、揃えるべきポイントが明確になります。
同時に、担当者の役割も自然に定まります。すべてを決める立場でも、単なる伝達係でもない。期待を具体化する対話の起点となり、それを形にしていく役割です。
会社の期待が、最初から完成された形で見えないこともあります。では、そんなときにどう立ち回るか。
指示を待つことでも、好みを推し量ることでもありません。
自分の考えを起点として示し、対話を動かし、期待を形にしていくことです。
それこそが、担当者に求められている立ち回りではないでしょうか。
私たちも、同じチームの一員として期待を形にしていくプロセスを支えます。
考えを言葉にし、プロジェクトへとつなぐ伴走者でありたいと考えています。