理解者をふやし、プロジェクトを進めるには?

地域活性化など、多くの関係者が関わるプロジェクトに携わることが多い、左近です。
「地域に貢献できることをしたい」という企業の思いから始まるプロジェクトは少なくありません。
しかし、強い「思い」だけでは成立しないことも多いのが、地域貢献の難しいところです。
今回は、そんなプロジェクトをどう前へ進めていくとより良いのか、私自身の経験を交えながらお話ししたいと思います。
「地域のため」だけでは、プロジェクトは進まない
地域に長く根ざしてきた企業から、「地元に恩返しができるような事業をしたい」というご相談をいただくことがあります。
しかし、お金を出すだけでは自社らしい地域貢献になりませんし、企業の自己満足と思われてしまう可能性もあるでしょう。
例えば、使われなくなった工場や倉庫、遊休地などを地域のために活用するプロジェクトです。
さまざまな事情から手放したくはないものの、そのままでは活用もできず、維持費や固定資産税もかかってしまいます。
せっかくならそれを地域の役に立てようというプロジェクトですが、「本当に地域の人に使ってもらえるのか」「社内外の協力を得られるのか」など、考えなければならないことはたくさんあります。
関係者が増えれば、「思惑」も増える
さらに難しいのは、企業だけでプロジェクトを決められないことです。
例えば、使われていない土地があれば、地域住民は「次に何ができるのだろう」と考えます。
騒音や交通量の増加など、周辺の生活環境に影響するような施設ができるのでは、と不安に感じる人もいるでしょう。
だからといって、何も使われないまま建物が老朽化していくのも気になります。
行政には、そうした住民の声を受け止め、地域の課題に対応する役割があります。
施設が完成すれば、今度はそれを継続的に管理・運営していく人たちの事情もあります。
企業は地域に貢献したい。住民は安心して暮らしたい。行政は地域の課題を解決したい。運営者は持続可能な形で施設を運営したい。
それぞれの立場から見れば、どれも思って当然のことです。
思惑の「重なるところ」を探していく
こうして並べてみると、関係者それぞれの思惑はバラバラに見えるかもしれません。しかし、私はここにプロジェクトを前へ進めるヒントがあると考えています。
大切なのは、こちらの考えに賛成してもらうことではありません。
それぞれが何を実現したいのか、何を不安に感じているのかを知り、その思惑が重なる形を考えていくことです。
例えば、企業が持つ使われていない土地を、地域住民が集まれる場所として再整備するとします。
住民にとっては、自分たちが使える場所が生まれます。行政にとっても、住民の要望に沿った土地活用になります。
さらに商業施設などを併設すれば、施設の運営や管理に必要な費用を賄える収益を生み出すこともできます。そして企業にとっては、使われていなかった資産を活用しながら、自社らしい地域貢献を実現できます。
最初はそれぞれ違う方向を向いていた人たちが、「それなら、このプロジェクトには意味がある」と思えるようになること。
これが、理解者をふやしていくということなのだと思います。
理解者は「説得」してつくるものではない
多くの人を巻き込むプロジェクトでは、反対意見や異なる要望が出ると、それが逆風のように感じられることがあります。
しかし、その人がなぜそう考えているのかを掘り下げてみると、プロジェクトと重なる部分が見つかることがあります。
その接点をプロジェクトの中に組み込むことができれば、相手は理解者になり、時には力強い協力者にもなってくれます。
今回は地域貢献を例にしましたが、考え方はほかのプロジェクトでも変わりません。
まず、関係する人は誰なのか。その人は何を実現したくて、何を不安に感じているのか。
そして、それぞれの思惑が重なるところはどこなのか。
関係者全員が納得できる場所を探していくことが、良いプロジェクトを生み出す第一歩になるのではないでしょうか。