専門性は「好き」から育つこともある

お客様からお悩みのご相談を頂くことも多い、溝口です。
ご相談の中には、「専門家でもないのに、突然プロジェクトを任されてしまい、よく分からないのですが……」というお悩みもしばしば頂きます。
最初は戸惑ってしまうかもしれませんが、これは普通のことだと思います。
ところが、それでもご自身の強みを活かしながら、成果に繋げている方がいらっしゃいます。
しかも、その方は高度な専門知識も、特別な資格もお持ちというわけではないのです。
これは一体どういうことでしょうか。
今回は、私が現場で感じた「個人としての」専門性についてお話ししたいと思います。
専門知識がなくても、成果を出す人がいる
施設整備事業のような長期間にわたるプロジェクトの場合、ご担当者様が途中で異動してしまうことは珍しくありません。
特に私のお客様に多い自治体の場合は、ほぼ確実に3~4年で異動されてしまいます。
そのため、施設や展示などに関わる仕事を経験してきたわけではない方が、プロジェクトの担当に任命されることも少なくありません。
これは民間企業でも同じです。展示施設づくりを何度も経験したという方は珍しく、多くの方が未経験のままプロジェクトに向き合っています。
それでも、中には驚くほど魅力的な展示施設や地域イベントを実現してしまう方がいらっしゃいます。
私も「どうしてこのような取り組みが実現できるのだろう」と思い返してみると、そこにはある共通点がありました。
成果を生んだ発想は、仕事の外にあった
その一例として私の記憶に残っているのが、ある自治体のご担当者様が企画した地域イベントです。
地方のコミュニティ施設でのことですが、地域の音楽文化を取り入れた交流イベントを開催したところ、多くの人が集まり、施設利用者との新たな接点が生まれました。
地域とのつながりも広がり、施設の新しい魅力を伝える機会にもなりました。
実は、その方自身は音楽の専門家ではありません。演奏ができたわけでも、イベント運営の経験が豊富だったわけでもありません。
ただ、普段からライブへ足を運び、地域の音楽シーンに興味を持っていた、「音楽好きの、ごく普通の人」です。
それでも、「どんなイベントなら地域住民に楽しんでもらえそうか」「誰に相談すれば実現できそうか」という感覚を、常日頃から抱いていたといいます。
それを原動力に、以前イベントで知り合ったという知人に相談したり、利用していた音楽スタジオで音響について尋ねたり、知り合いのバンドマンの方に地域で活動する演奏者を紹介してもらったり。
一人ひとりとのつながりをたどりながら、少しずつ企画を形にしていかれました。その結果は最初にお伝えしたとおりですが、大成功といえるものでした。
これは、専門家ではない個人が、「好き」を起点に人やアイデアをつないでいったことが成功につながった好例だと、私は思っています。
あなたが積み重ねてきたものも、仕事の力になる
好きだから続けてきたことや、自然と身についた知識は、人それぞれ違います。
趣味でもいいですし、地元のことでもいいですし、これまでの仕事で身についた知識でも構いません。
そうした経験や視点は、新しい仕事で思いがけない発想につながることがあります。
新しい仕事を任されたときは、「何を知らないか」だけでなく、「自分は何を持っているのだろうか」と一度考えてみると、見え方が変わるかもしれません。
自分が好きだからこそ積み重ねてきた知識や経験は、仕事の新しい発想につながることがあります。
専門知識だけでなく、こういったものも「好き」が育てた、その人ならではの専門性だと思います。
あなたがこれまで自然と積み重ねてきたものの中に、次の仕事のヒントがあるかもしれません。