空間創造によって
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乃村工藝社

本国への報告で疲弊しないための処方箋

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グローバル展開されている企業様の案件に、多く関わる機会をいただいております、久森です。

外資系ブランドで店舗づくりや空間プロジェクトを担当すると、本国との調整を避けては通れません。過去に私が関わったプロジェクトでも、想像以上に調整事項や相談が発生した印象が強いです。

例えば什器の納期遅れ、電気をはじめとする設備工事の調整、現場判断でのやむを得ない仕様変更。日本側で起きたあらゆる事象が「報告・承認事項」となり、そのたびに本国への説明と承認が求められます。

「何から、どう説明すればいいのか分からない……」と、担当者が一人で抱え込み、疲弊してしまうケースも少なくありません。

そこで、今回はそんな疲弊を避けるための原因と方法を、探っていきたいと思います。

 

疲弊の正体は「説明の難しさ」にある

このようなプロジェクトでは、説明が難しくなる瞬間がいくつもあります。特に大変なのが、追加工事やコスト増、スケジュール遅延が出たときです。本国に伝えるには、基本計画と何が変わったのかを整理しなければなりません。

ところが現場では、法規制、サプライヤーの都合、工程間の影響が同時に絡みます。例えば部材調達困難による工事の遅れが後工程を押すこともあれば、日本特有の天井高や消防法が前提を変えてしまうこともある。説明はどうしても断片的になり、本国側も全体像を理解しづらくなります。

担当者は、現場で起きていることを本国が理解できる形に置き換えて伝える必要があります。つまり、「現場」と「本国」の間で翻訳者の役割を担うことになるのです。

 

解決の鍵は「早さ」と「ストーリー」

この負担を軽くする鍵は、シンプルです。問題が起きたら、できるだけ早く共有すること。本国の担当者も、後工程への影響や次の判断を考えるために、なるべく早いタイミングで状況をつかみたいからです。

こうしたやり取りをスムーズにするうえで前提になるのが、日頃のコミュニケーションです。普段から情報をやり取りできる関係ができていると、問題が起きた際にも、早い段階で共有しやすくなります。

そのうえで重要なのが、伝え方です。単なる事実の羅列ではなく、「なぜ発生したのか」「どこに影響するのか」「どう対応するのか」「結果として何が変わるのか」という流れで整理して伝えるわけです。実際の事例では、「古い街区の一角に出店する計画だが、景観条例を遵守するため、企業の共通仕様の看板を置くことができない。そこで地域の伝統工芸的なデザインを取り入れた、こういう仕様の看板なら、街並みに違和感を与えず、地域へのリスペクトも示すことができる。ただし予算はこうなる」といった具合です。

法規対応のために追加工事の見積書を出す場面でも、こういったストーリーがあると本国は判断しやすくなります。

このように、「受け手に問題がどう伝わるか」までを考慮に入れた伝え方が大事です。
伝えるタイミングと整理次第で、本国とのやり取りの重さは大きく変わります。

調整対応で疲弊が大きくなるのは、物理的な距離ではなく、前提や状況が十分に共有されていないことによる心理的な距離があるからです。

その距離を縮めるために必要なのは、早めの共有、伝わる整理、そして日常的なコミュニケーション。本国の担当者もまた、限られた情報の中で判断しています。関係性が築けると、報告は義務ではなく対話に変わるでしょう。

もし本国とのやりとりに精神的な負担や疲弊感を感じたとき、これが一助になりましたら幸いです。

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