伊賀上野世界こども博覧会
伊賀盆地に位置して幾多の史蹟に恵まれている上野市は、桜の名所として知られた白鳳公園を会場に、春の自然を楽しみなから、観客に知識、情操、品性を高め、交流の輪を広げてもらおうと開催した。会場は16万5.000平方メートル。そこに驚異の科学館、国連平和館、ユネスコ子供館、子供スポーツ館、世界こども芸能館など子供博らしいパビリオンが建ち並んだ。また土地柄を反映して忍術不思議館もあり、テレビと映画館や屋内劇場、世界探検大パノラマやウォーターシュートもあり、子供たちの興味を惹いた。ほか、産業館、郷土館、動物園、子供特設館、第1遊技場・第2遊技場・小遊技場と、遊ぶのには事欠かない施設が沢山あった。付近には観光名所も多く、上野城と城郭は桜の名所であるし、芭蕉の生家も残され、芭蕉の作った茶室・みのむし庵もあり、観客の行楽には打ってつけであった。後援は三重県・滋賀県・京都府・奈良県・各府県教育委員会、協賛は日本国有鉄道・近畿日本鉄道株式会社・日本交通公社・三重交通株式会社。[以下http://www.iga-web.comより転載]前年の昭和26年8月、中井徳次郎市長は市議会で博覧会の開催を提案する中で「損失の覚悟は約五百万円ぐらい」と説明。もちろん議員側からは「初めから損を考えて開催するのは如何なるものか」とクレームがついた。しかし、市長も負けずに「赤字覚悟で敢然とやるぐらいの意気込みが無いと、こんな大事業はできぬ。仮に役所が損をしても市民が儲ければよい」と応酬。最終的には「全員異議なし」で市長の提案が可決された。9月10日に市、市議会、商工会議所などが結集して事務総局が設けられ、会期が27年3月15日から5月15日までの二か月間、会場は白鳳公園一帯と決定された。12月17日、現地で起工式が行われ、忍術不思議館、国連平和館、世界探検パノラマ、ユネスコ子供館、野外演芸場などが続々と建設された。前売券は大人百円小人八〇円、沢しげき作詞中山晋平作曲のこども博の歌は、ビクターの服部淳子が歌って前評判をあおった。開幕するや、野外演芸場には田端義夫、津村謙、川田晴久、林伊佐緒、小唄勝太郎、広沢虎造、天津羽衣らの芸能人が出演。なかでも5月5日に来演した天才少女歌手・美空ひばりは超目玉商品だった。「売店の屋根や桜の木も人で鈴なりの状態。この日の人出は八万人」と伊勢新聞がその日の賑わいを報道した。期間中に人気を集めたのは、甲賀流14世を名のる藤田西湖の忍術実演で、のちの忍術ブームのきっかけとなった。また、飛行塔、ウォーターシュート、ボートなどの遊具のほか、NHK提供のテレビジョンは珍しさもあって人気があった。最後に三日間会期を延長し市民に無料開放。入場者は30万人を突破。問題の収支は約八百四八万二千円の赤字、同時期に四日市や大阪、京都でも博覧会が開かれたことが影響した。乃村工藝社実績「驚異の科学館」「社会科館」「忍術不思議館」「こどもの国」(社歴&社史「70万時間の旅3」より)
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