朝鮮博覧会
昨年の夏、この国技館で樺太博覧会が開かれ、100万人近くの入場者を得て、樺太に関する宣伝的効果を挙げた。それに引き続く今回は、朝鮮半島の博覧会を開催して「柳の下のどじょう」を狙った。3千年の歴史をもつ朝鮮半島の文化は、朝鮮総督府の政治により跳躍的に開発され、産業、教育・交通・衛生などの制度が完備し、以前と現在とでは比較にならないほど面目一新をした。しかし、日本内地の人たちの多くは理解に乏しく、これではお互いに不利益なので、朝鮮の現状を有りの儘に紹介し、双方の協調と融合を図るために開催した。会場入口に釜山港頭の風景を表し、場内には朝鮮各道の風景、名勝、古跡などの大パノラマで、それぞれの模型、壁画、大写真、人形など配置してリアルに展開した。また、場内の一部には鴨緑江の壮観を見せ、ここに製氷機によりスケート場を設け、真夏の東京に厳寒、鮮満国境の情景を味わせる演出をした。余興場は12段返しの仕掛けで、妓生の華やかな踊りや演技が繰り広げられ、2階、3階も朝鮮風景のパノラマ壁画で雰囲気を出した。最新の趣向は金剛山大観というパノラマで、模型や小道具によって実景を表現、実物大の滝を落とした。博覧会は「朝鮮の縮図」を見るようであったと好評であった。
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